日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎皆で渡れば怖くない

◎皆で渡れば怖くない
 楽しんごさんは「闇営業」一発で解雇になったのに、もっと進んで犯罪者から金を貰っていた芸人たちは謹慎だけ。
 いちいち解雇してれば、確かに「8人しか残らない」状況になってしまうからか。

 しかし、「反社会集団」、「ヤクザ」「暴力団」、「不良」とも、各々、若干定義が違う。
 「暴力団」は広域指定されているかどうかで、犯罪に手を染めているかどうかは関係ない。
 過去の経験だと、不動産屋屋や産廃業者の近くには、段取りを繋ぐ業者がいるが、これは素人。でも中には、暴力団と繋がっている会社もある(「企業舎弟」と言う)。
 企業舎弟は組織には含まれて居らず、まっとうな仕事をしているが、傍には団員が必ず居る。
 集まりなんかがある時には、丸暴が来るかどうかは、その場になってみないと分からない。
 「行ってみたら居た」というのは、結構あるから、たまたま居合わせたのを「付き合っている」と言われたら、実態とはだいぶ違うと思う。

 大学院生時代にリーチで麻雀を打っていたら、不動産屋や建設屋、産廃業者の社長と知り合いになった。
 とび職の口入(今で言う人材派遣業)をやっている人(A)がいたのだが、気に入られて、一杯ご馳走になるようになった。
 Aさんは、昔はS会の組員だったが、その時はもちろん、まっとうな仕事をしていた。
 そのAさんが「温泉に行こう」と言うので(会費制です)、伊※※温泉に行くと、行った先は20室くらいの案外小さな旅館だった。
 それもそのはずで、旅館は貸切。なぜ貸し切らねばならないかと言うと、無用な摩擦を避けるためで、私以外は全員に背中に模様があった。
 Aさんの知り合いの丸暴が来ていたのだ。
 そんなのは、その場に行くまで、そして風呂に入るまで分からない。
 大概の温泉旅館には、「刺青のある人お断り」と看板を出してあるから、一般人が混じると通報されてしまう。
 それで貸切にしたわけだが、無用なトラブルを避けるまっとうな考え方だと思う。 

 その時初めて「Aさんの回りはヤクザ者ばかりなんだな」と知ったわけが、Aさん自体は素人(ヤメ暴)だし、問題はないから、その後も普通に付き合った。
 面白い裏話が聴けるから、社会学の院生には有り難い。
 その後は一緒にシンガポールに行ったりしたが、やはりその時も「丸暴さまご一行」になった。
 そのAさんは60歳くらいの時に癌で死んだ。

 一般人の前で自分は丸暴だと「看板を出す」のは、大体が本物ではない。
 一度、麻雀を打っていたら、別の卓でトラブルが起き、50台の職人(疑いなく職人)があたかも丸暴であるかのように装って、相手に「てめえ。ちょっと事務所に来い」と叫んだ。
 その時、雀荘には十数人が居たのだが、それを聞いて、全員が大笑いに笑った。
 それもその筈で、私の方の卓には、Y組、S会、K東のN馬周辺の組長3人が入っていたからだ。しのぎ上のトラブルが無ければ、普段は交流があり、一緒に麻雀を打ったりしていたわけだが、これも世間の印象とは違う。
 「事務所に来い」と言われた相手はあきれて、「どこの事務所だよ。年金事務所か?。そっちに親分が全員いるだろ」と返していた。
 主だった組長の顔を知らないのでは、完全に素人だ。
 職人はあっさり追い出されて、すごすごと帰った。

 完全にヤクザを生業にしている人は何となく分かるが、ごく近い位置にいる者は、外見ではそれと分からない。
 また丸暴の稼ぎの中心は金融と不動産だ。シャブとか恐喝では全然無い。
 中核に行けば行くほど、それとは分からない者がいる。
 もちろん、東大卒の丸暴(またはそれに近い筋)もいる。
 逆にいかにもそれっぽくとも、ごく普通の飲み屋の主人だったりするから、やはり人は見た目では分からない。

 「接触してはダメ」とされている立場の者は、なお一層、注意する必要がある。ま、逆に、事前によく調べて、ひとの素性をよく確かめて置くことだ。
 ついていない人は、知らずに隣に座ったところを写真に撮られ、証拠にされてしまう。

 ヤメ暴の人たちからは面白い裏話を聞いたが、これを話に仕立てるには、それなりの小説家で、売れていないと難しい。発表する媒体が無いので、結局、寝かせたままになると思う。

 なお既に何十年も前のことで、当事者も私以外は死んでいる。時効ということ。
 記憶も薄れており、詳細は正確ではないと思う。