◎夢の話 第740夜 座敷
12日の午前2時に観た夢です。
我に返ると、日本庭園の中に立っていた。
どこか人の家の庭で、庭石や植木が沢山置かれている。
正面に見えるのは縁側で、その奥はどうやら座敷だ。
その座敷の中には人が何人か座っていた。
ゆっくりと近付き、縁側から家に上がった。
すると、座敷の中央に布団が敷いてある。
誰かがその布団に寝ているが、その布団の周囲を五六人が囲み、寝ている人を覗き込んでいた。
「なるほど。誰かが死出の旅路につこうとしているのだ」
周りにいるのは親族だろう。
しかし、病人は既に亡くなった模様で、身動ぎをしなかった。
顔の方に目を向けると、黒い布がかけてあった。
「黒い布?白いのではないのか」
何となくそれを注視すると、それは布ではなく、何かどろどろしたスライム状の物体だった。
「こりゃ不味い。回りの人はこれに気付かぬのか」
そこで、俺は鞄から赤外線ライトを取り出し、光を仏さまの顔に当てた。
この黒いのは、きっとあの世に係わる何かだから、赤外線は何らかの効果があるだろうと考えたのだ。
すると、その顔の上の黒いのがするすると小さくなった。
何か圧力を感じたのだろう。
「ああ、良かった。これでこの仏さまもスンナリあの世に向かえる」
ここで気付いたが、不思議なことに、この家の者とはまったく係わりの無い者が中に入っているのに、この家の者は誰も俺のことを見なかった。
俺がいることに気付いていないのだ。
「ふうん。俺はここでは存在していないのだな」
ここで覚醒。
目を覚ますと、何故かいつもと頭と足の位置が逆転していた。
寝る時の体勢とは逆さまだ。
私は寝相が悪い方ではなく、こういうのは滅多にない。
また、今は寝苦しいほど暑くもない。
どうやら、行き場が分からず、私について来た者がいるらしい。
「俺には助けられない。ただ、成仏を祈ってご供養を施すだけだ。もし不用意に近付くと、ご守刀で切り捨てるきまりだから、気をつけろ」
それから神棚から、ご守刀を下ろし鞘から抜いた。
悪戯が始まらないように、しばらくはこいつを手元に置くことにした。
生きた人間でも、ちょっと親切にすると勘違いをする者がいるが、あの世の者は思考能力がないから、余計にその傾向がある。
「俺は仲間にはなれないし、お前と同化するつもりもない。そこを間違えるなよ」
線を引き、「ここからは入って来るな」と宣言すると、まずは入って来ない。
まずは「あの世の住人を招き入れぬこと」が前提となる。