日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第746夜 終着駅

◎夢の話 第746夜 終着駅
 11日の午前4時に観た夢です。

 長く歩き、駅に向かう。
 途中で地下道の入り口があったから、それを下った。
 「何キロ歩いたのだろう」
 少なくとも4時間は歩いた気がする。

 人の流れについていくと、皆が階段を上り始めた。
 「ははん。あそこを出ると駅なんだな」
 急角度の階段の前に立つ。
 「おいおい。エスカレーターはないのかよ」
 これじゃあ、都心の地下鉄にある古い駅みたいだよ。
 バリアフリーはどこ行った?
 その瞬間、「バリアフリーはまだ無いんだよ」と閃く。

 「今は何時なんだろう」
 地下道の壁の具合とかは、「いかにも昭和」って感じなんだな。
 昭和50年頃だ。
 しかし、頭が働かない。疲労からなのか、深く物事を考えられないのだ。
 外界のものを無感動にただ茫っと眺めている。

 「今の俺は幽霊と同じだな」
 幽霊は頭を使えぬ、心だけの存在だ。
 いくらか感情はあるが、それだけ。
 怒りや恨みの念を憶えていても、相手のことが分からない。
 ただ「何となく」存在している。

 上に昇る階段がやたら長く、途中で立ち往生する。
 十年前と同じだ。
 わずか20段の階段が上がれず、3回は休まねばならなかった。
 すると、後ろから「もうすぐだから頑張って」と腰を押し上げる者がいた。
 後ろから来た者が、俺が止まっていると出られないから、押してくれたのだ。

 なんとか出口を出て、溜め息をついた。
 視界に駅前のロータリーが広がる。
 「駅はどの建物だろう」
 それらしき建物が見えず、3階建てのビルが幾つかあるだけ。
 とりあえず、近くのビルに入ることにする。

 ロータリーでは、ゴーカートが4、5台猛スピードで回っていた。
 乗っているのは子どもたちだ。
 「駅前なのに、何でまた」
 脇に視線を向けると、料金所のような箱があり、「20分1千円」と書いてある。
 遊園地かよ。

 建物に入ると、中はやっぱり「昭和」だった。
 雑多な人たちが行き来している。
 看板を見ると、「岡山」と書いてある。
 「俺はここには一度も来たことがないのだが、ついに来たのか」
 俺は東北の育ちだから、名古屋から西にはほとんど縁が無い。
 仕事で通ったことはあるが、下りる用事が無かった。

 改札らしき窓口の傍に、立ち食い蕎麦屋が開いていた。
 昔風のスタンドだ
 「最近はほとんど見かけなくなったな」
 スタンド式は廃れ、今はきちんと壁で囲ってあることが多い。
 吹きっさらしではなくなり、快適なはずだが、その反面、風情が無くなった。
 寒い夜に、列車を待ちながら食べる生蕎麦には、何とも言えぬもの悲しさがあったのにな。

 スタンドの周囲にはオヤジたちがたむろしていた。
 皆、一様にジャンパーを羽織り、帽子を被っている。
 「はは。これじゃあ、まるで競馬場だな」
 しかも、35年は前の競馬場だ。
 あちこち薄汚くて、オヤジだらけ。

 「さて、どこで切符を買うのだろう」
 切符売り場が見当たらない。
 路線図を見つければ、その近くにあるだろうから、上の方を捜してみる。
 割とすぐに料金表が見付かった。
 簡単な駅名と値段が書かれている。
 「東京方面480円」

 「おいおい。東京方面って何?」
 岡山駅からじゃあ、かなりあるのにさ。
 でも、あくまで「方面」だから、東京に向かって行けるところまで行くと480円というわけだな、きっと。
 駅で2つか3つ行くと、ターミナルかあり、そこで乗り換える。そんな段取りだ。
 財布を取り出して中を見ると、数千円とクレジットカードが入っている。
 「ここでクレジットなんか使えるのかな」
 ヤバいねえ。だって、ここは昭和だもの。カードなんか存在していないかも。

 何だか、もの凄く疲労感を覚える。
 自分がかなり長い間、こうやって列車に乗り、各地を彷徨って来たような気がする。

 「もしかして、そろそろ終着なんじゃね」
 それは有り難いことなのか、悲しいことなのか。
 今の俺には何も分からない。
 ここで覚醒。

 目が覚めた瞬間、「こいつは不味い」と呟きました。
 夢を観ている時は、前頭葉の多くが休眠するので、思考能力が落ち、感情だけで振舞うのですが、それにしても、夢の私は「幽霊そのもの」か、「死ぬ直前」の様相でした。 
 ま、うっかり冷房を点けたままその下で寝ていたので、体が冷え切っていました。
 「頭が働かず、体が冷たくなっているのでは、確かに死人と同じだ」
 まだなるべく現実にならないで欲しいものです。