日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢に似ている

◎夢に似ている
 死ぬと、誰もが一定期間、幽霊になるようだ。
 死後に展開される世界は、主観的に構成されるようで、死者は「自分の観たいものを見る」ようになる。
 もはや論理的に考えるために必要な頭脳を失っているし、断片的な記憶と感情しか持たない存在になってしまっているからだ。

 

 その死後の世界と、最もよく似ているのは、夢の世界だ。
 夢に出て来る事物は、現実のものに関係しているが、総て記憶から取り出され、感情でデフォルメされている。
 私は、子どもの頃の家(今は倉庫)の夢を頻繁に観るが、昔のままだったり、現状に近かったりと様々だ。
 夢の中では、その家が目の前の現実として現われるのだが、記憶でも現実でもなく、私自身が創り出したものになっている。
 もしかすると、死者には、周囲がそんな風に見えるのかもしれない。

 

 ここからが本題だ。
 もし今の私のように、「眠っている間に死んでしまう」可能性のある者は、夢と現実の違いをどうやって知ることが出来るのだろうか。
 もし睡眠中に死んだら、二度と目覚めることは無い。
 目の前に展開する世界は、夢の中と同じだ。
 自分が死んだことを自覚で出来ないと、長く幽霊でいることになるのだが、どうやってそれに気付けばよいのか。

 

 私は、夢の中で「自分が夢の中にいる」ことを自覚していることがある。

 同じことが死後に起きたら、どうすればよいのか。

 想像するだに怖ろしい話だ。
 もし、それを自覚できたにせよ、目覚めることの無い夢の世界にいるのだから、その先どうやってそこから逃れ出ればよいのか。

 最近は、目覚めた時に、「ああ。また生き返れた。よかったな」と思うことがよくある。心臓の発作は早朝に起きることがほとんどだからだ。
 眠ったまま死んでしまったら、人生の主役はもはや自分自身ではなく、周囲の世界に支配されてしまうことになる。