◎つい気を許すと
この時期は、「あの世」系の返事が起きないから割合、のんびり出来る。
道を歩いていても、後ろを付けられる気配がないし、カウンターの陰に「女」が立つこともない。
その分、現実に集中できるわけだが、今は月末ごとに右往左往させられてしまう。月半ばの今から月を越える算段を考える必要がある。
たまに昼からごろっと居間に寝そべり、ホラー映画を観たりもするのだが、最近、割にいい映画に当たっている。
今日は、そんな風に映画を観ていた。
家人はこの日休みで選択をしていたが、雨予報を気にして、二階に行ったり来たりしている。
つい先ほど、階段から足音がして居間に入って来て、当方の後ろに家人が立った。
家人は洗濯物を取り込むかどうか、外の様子を量っているのか、そのままじっと立っている。
立ち見で映画を観ているような気もするので、背中の後ろ(の家人)に声を掛けた。
「どうせ観るなら、座って観ればいいんじゃないか?」
そう言って後ろを振り向くと、そこには誰もいなかった。
人の気配がはっきりしていたので、少しびっくり。
なるほど。やっぱり、この時期は「分かりにくい」だけで、「いなくなった」わけではないわけだ。
ある意味、納得した。