◎古貨幣迷宮事件簿 「整理(または贈呈)品の品評」 P07-15
身辺整理も最終局面で、大した品は残っていないが、品評を記して置く。
P07 冠人と砂金袋 背「寝そべり馬子」(譜外品)
制作から見て幕末くらいはありそう。風貌が桃猿駒の本銭に酷似しているので、「竪槌大黒手」に含まれるのかもしれぬ。
面(表)は上に砂金袋、下に役人(冠人)。背(裏)は駒と馬子なのだが、馬子が寝そべっている。面を基準にすると、背は右駒になるようだ。
P08 江戸期絵銭 四福
江戸期の銭譜に掲載がある。明治以後の摸鋳が殆どなく、古鋳であることは疑いないが、その分、状態の時代劣化が見られる。
P09 千両駒
調べてみたことはないが、仙台領で散見されるようだ。南部ではあまり出ない。
P10 砂金駒 俵降ろし(譜外品)
黄銅銭だが、原母は金属板を彫り進めたようなかたちであるし、穿のサイズが小さい。意図的に大量の製造がし難いところを見ると、あながち新しいものではないのかもしれぬ。いずれにせよ、絵銭譜には見当たらない。
P11 花巻 恵比寿大黒
「花巻絵銭」は「江刺」と冠されたこともある。
製作が明治以降のつくりであり、この型の恵比寿大黒は「馬の品評会の時の褒章用メダルとして作られた」ことが分かっているから、恐らくこの絵銭の起源は岩手勧業場ではないかと思う(私見だ)。
輪側の処理法なども系統的に整理できると思う。
P12 群れ馬 大黒 (譜外品)
地金が大正出来のように見えるが、譜外品だ。
P13 駒乗り法師 背申(玄奘) (譜外品)
谷が浅い絵銭だが、原母は木型のよう。テーマは、面が馬に乗る法師で、背が「申」という文字を配置しているので、「玄奘三蔵」を想起させる。
新旧は分からない。
P14 打印銭 暴れ馬 (譜外品)
意匠的には「暴れる駒」なのだが、何時の製作かは分からない。
この型は絵銭譜に掲載が無かったと思うが、よく分からない。
打印銭には、意匠の鮮明なものが少ない。
P15 陰刻 稲荷
前蔵主は「譜外品」と記してあったが、江戸期の銭譜に同型の品が掲載されていたように記憶している。
ただ、陰刻は陽刻に比べると、存在数がかなり少ないようだ。
参考)八戸駒引き
類品を探すつもりだったが、ついぞ見付からなかった。
小さく見すぼらしい絵銭で、改刻銭のよう。紫褐色から赤褐色の間であるところを見ると、八戸絵銭ではないかと思う。
駒の俵のところに打刻があるようだ。
これは誰か八戸銭コレクターに贈呈しようと思うが、絵銭収集家はあまり多くない。