◎古貨幣迷宮事件簿 「N61-62 花巻恵比寿・大黒」
「花巻」と称される絵銭類は、実はどこの誰に作られた品かがよく分かっていない。
「花巻」もしくは「江刺」という地名が冠されているのは、この地方でよく出たということか。
賞状と一緒にこの絵銭が見付かったことがあり、明治期に馬の品評会の褒章メダルとして使用されたとされる。
掲示の品はいずれも初鋳品であるが、少しく製作が違い、恵比寿の方には砂目や鑢目がほとんど見えない。マイクロスコープで拡大してもよく分からぬほど平滑な出来となっている。
あくまで私見ではあるが、黒い地金、平滑な表面であることから、「勧業場」が期限ではないかと思う。
絵銭であるが、絵銭としては珍しく官製品である。
非常に丁寧に作られており、格式のある良い絵銭である。
製作にバラエティがあり、打製の品まで存在しているので、明治から大正にかけて岩手県内で利用されたのではないかと思う。大会の受賞者だけに与えられたのであれば、存在数が少ないのも頷ける。