◎夢の話 第1K11夜 帰省
七日の午前三時に観た夢です。
何かの催事があり、郷里に向かうことになった。
従妹がこの連絡をしてくれたのだが、「久々に皆が集まるよ」との話だ。
「山の叔父ちゃんも、床屋の叔父ちゃんも来るらしいよ」
そりゃ、必ず行かねば。何せ二人が死んでから、もうかなりの年月が経つ。
家に着くと、父が待っていた。
「元の家の方に婆ちゃんがいるから」
なら、母を迎えに行かねばならない。
父と車に乗り、前の家に母を迎えに行った。
母が死んでから三年目だが、母はやっぱりあっちの方に行くわけだな。息子の俺も思い入れは古い家の方が強い。
車を家の前につけると、昔の実家は今の状態で、ボロボロに朽ちていた。
「いよいよ古くなったね」
「ま、誰も住んでいないからな」と父。
家に入ったのだが、母がいない。どうやらひと足先に従姉の一人が迎えに来て、会場の方に連れて行ったようだ。
それなら、もうそっちに行く手だな。
とりあえず、トイレに行くことにする。
トイレは二階の床の間の中央にあり、用を足すのに落ち着かなかった。小さい個室に慣れているからだ。
下に戻ろうとすると、隣の部屋の床が水で濡れていた。
配管が古くなり、水道管が破裂したのだ。
父がやって来て、「これはつい先週、修理させたばかりなのに」と零した。
これでは、家全体が水浸しになる。
俺は工務店に電話をかけ、「ちゃんとやれ」と怒鳴った。
「テメーら。こんな仕事もまともに出来ねーのか」
すぐに父に窘められる。
「お前は短気で、すぐに腹を立てる。全然直っていない」
父に滾々と説教されたが、何となく心が落ち着く。
心中で「説教してくれる人がいるのは良いもんだな」と考える。
ここで覚醒。
「家」は「体」の象徴だから、「家が古びて、あちこち壊れている」は、自分が年老いて病気になっている状況のことだ。
「水」は「感情」で、こういう事情もあり、思うところを抱えていることを自身が感じている。
当たり前だ。現状は寝たり起きたりだけの状態だ。
夢の「俺」がキレて叫ぶのもよく分かる。
だが、父は淡々と「冷静に対処しろ」と諭す。
うーん。「俺」が態勢を立て直すことが出来るのかどうか。
夢に登場した(または動向を聞いた)人で、現実に生きているのは、父と当方だけだった。
まだ宴会の席には座らないらしいが、会場はもうすぐだ。