日刊早坂ノボル新聞

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◎夢の話 第1K44夜 駐禁で捕まる

夢の話 第1K44夜 駐禁で捕まる

 二十四日の午前四時に観た短い夢です。

 

 我に返ると、俺は車を運転していた。

 「ここはどこだろ?」

 きっと都心に向かっている。

 青梅街道みたいな道を東に向かっている気がするから、きっと新宿方面を目指しているのだな。

 しかし、周囲は一度も見たことのない街並みだ。

 「おかしいな。幾度となく通っている筈だ」

 まったく覚えがない。

 カーナビではどうなっているのかと、前を見たが、ナビが付いていなかった。

 おいおい。今時ナビなしの車なんてあるのか。

 ミラーを見ると、三十台前半の男が映っている。

 「随分若いな」

 何だか違和感がある。(珍しく「夢の中にいる」とは自覚しなかった。)

 

 「当てもなく運転しても、どこへ向かっているのか分からんし、今いるのがどの辺かも想像がつかない」

 とりあえず、現在地を確かめよう。

 ちょうどおあつらえ向きに、道の端に窪みがある場所に差し掛かった。

 車をその場所に寄せる。

 「交通量は多いが、ここなら通行の邪魔にはなるまい」

 すぐ道の向かい側に、昔ながらの商店街がある。

 あそこで訊こう。

 

 道を渡り商店街に入ると、しかし、そこはシャッター街だった。

 昔は商売が盛んだった筈の八百屋や肉屋、雑貨屋が悉く店を閉めている。

 「住人も店の経営者も年老いて、この街を出て行くようになったのだな」

 少し離れたところに見える団地のような建物も今は人が殆ど住んでいないのだろう。

 これでは埒が明かない。

 

 仕方なく車の戻ろうとすると、車の脇に数人の人が立っている。

 「イケネ。警察じゃねーか」

 すかさず走り寄る。

やはり駐禁取り締まりで、今まさにミラーに旗を付けようとしているところだった。

 「お巡りさん、お巡りさん。道が分からず訊きに行ったのです。ほんの数分ですよ」

 これは事実だった。

 すると警察官の一人が答える。

 「ここは全区間駐車禁止だからね。道路に黄色い線が付いていないのは、区間禁止ではなく全線禁止だからだよ。分かっている筈だが」

 「いえ。私はここがどこかもわからんのですよ」

 すると、警察官三人が揃って俺を見た。

 「え。君はここがどこか分からないの?」

 三人は顔を見合わせて、「エヘ」「エヘ」「エヘ」と肩を揺らして笑った。

 ここで覚醒。

 

 目覚めてすぐに、「やったあ」と呟いた。

 「ついに夜眠れた」

 昨夜の十二時頃に横になったのだが、そのまま眠りに落ちていたらしい。

 まともに眠るのは数週間ぶりだ。

 どうやら、酸素吸入が良かったらしい。

 数少ない「動いている肺細胞」を酸素が助けたと見える。

 随分苦しんだが、ようやく快方に向かう。

 「やったぜ。これから人事に手を付けられる」

 死に掛けの状態で動いたら、たぶん状況を余計に悪くする。

 そこで、スッパリ何もしないことにしたのだが、正しかったらしい。

 もちろん、後は大変だ。月末だし、種々の支払いが待っている。

 「でも、明日があるならどうにかなる」

 

 で、ここで気付く。

 状況ががらっと変わったのは、「昨日、自分の後ろに十人分くらいの人影を見た」ことがきっかけになっていることだ。

 あれは私が死ぬのを見に来たのではなく、助けに来たのだった(確信)。

 ははは。やっぱり私の特技は、「直感」と「あの世」なんだな。

 

 「駐禁で捕まる」ってのは何かを思案させられたが、これも人事の話だ。

 要するに、私はこれからこの世に戻るということ。