日刊早坂ノボル新聞

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◎古貨幣迷宮事件簿 「旭日龍二十錢銀貨 明治三年銘の文字型」

◎古貨幣迷宮事件簿 「旭日龍二十錢銀貨 明治三年銘の文字型」

 乗りかかった船なので、ひとまず手元に残っている品で、明治初期から順を追って、「文字型」を観察するものとした。

 残念なことに、半年くらい前に近代銀貨を大量に処分したばかりなので、左程の請ってはいない。あくまで糸口ということだ。

 まず今回は「ブラフなし」である。貨幣カタログくらいのことは承知しているが、それ以外に近代貨をじっくり観察したことがない。これは枚数に食傷していたためだ。

 結論を先に記すと、同一年号だけにさほどの違いはないと思いきや、割合、文字型の相違は確認出来るようだ。

 今回はわずか五枚を対象としたため、「たぶん違いを発見できない」と思っていたのだが、修正のようには見えぬ「短年」「長年」の相違が最初の手掛かりとなり、幾つか相違点を拾うことが出来た。

 

 

 まだ少数サンプルを観察した段階だから、結論めいたことは言えぬのだが、少なくとも「複数個所の相違がある」のは事実だと思われる。

 「本」「二」字の相違などは、極印を複数作成して行く中で生じたものかもしれぬ。

 とりわけ「二」字については始画の長さがはっきりと異なるのだが、02以降には痕跡が残っているから、あるいは極印の製造過程で修正を施した結果なのかもしれぬ。

 一方、「年」字については、最初の原版を掘り出した時から違っていたと思われる。

 要は「手彫り原版を複数枚作成した」ということになるが、これはある程度の枚数を確認すれば実証できると思う。

 

 この方向性はかなり有望だと思う。

 私は、プレス貨幣については、まったく興味を感じなかったのだが、「原図絵師が違う」「彫り師が違う」みたいな展開になれば、話は別だ。

 型の違いが、単なる「希少性のランキング」にしか使われぬのであれば、面白くもなんともないが、製造工程に生じた変化がどのようなものであったかを推測できるのであれば、多大な興味をそそられる。

 「長年」などは、これまでの分類にありそうだが、「年」字だけでなく、複数の文字に相違があり、さらに「部分的な相違」があり、「組み合わせパターンが複数ある」となれば、面白さ百倍だ。

 

 ちなみに、五枚の分析なら、四五時間で出来る。

 穴銭の研究なら二十年三十年がかりなのだが、近代プレス貨はパターンが決まっていることに加え、ノイズ(雑音:たまたま個体に偶然に出来たエラー)が少ないので、検証作業は割合難しくない。

 

注記)いつも通り一発殴り書きで推敲や校正をしない。それが出来る状態にはないので、あくまで日記の範囲だということ。