日刊早坂ノボル新聞

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◎古貨幣迷宮事件簿 「出品物の解説 Z12-13」

◎古貨幣迷宮事件簿 「出品物の解説 Z12-13」

 知人よりリクエストがあり、絵銭一揃いを取りまとめ発送した。

 そろそろコロナ沈滞も一段落するので、出品に供される前に買っておくというのは、良い選択だと思う。

 その過程で幾つか発見した。

 

Z12 急ぎ駒引 母子

 K村さんの遺愛品だが、仙台や南部領の産ではないのではないか。製作が唐人駒に酷似しており、その手替わりと思われる。

 今回発見したのは、しばらく前に報告した母銭の子(通用銅銭)だ。あるいは鉄銭の母かとも考えていたのだが、銅銭用だったということだ。

 母子が組になると、俄然、コレクション向きに変貌する。

 唐人駒自体は江戸物だったと思う。

 

Z13 猿匍駒2枚と仙台駒引

 地金と砂目から見て、仙台領の北部から南部領にかけての範囲で作られた絵銭だと思われる。仙台領の鋳物職人は、この地独特の配合を編み出していたようで、寛永銭の母銭から当百銭まで共通するグループ(手法)があるようだ。

 「江刺」と限定して良いかどうかは、K村さんに聞いて見ぬと分からない。。

 K村さん以後、K村さんの域に近付けた者はいない。

 仙台領には仙台領の味があり、楽しい。

 返す返すも、「K村さんに教わって置けばよかった」と思う。

 だが、K村さんは、基本的に「偏屈」だったので、気安く話し掛けられなかったのだった。もはや取り返しがつかない。

 私も含め、「手の上の小さな金屑」ばかり眺めていると、とかく度量が小さくなるきらいがある。手本が無いと、一歩踏み出すことすらかなわない。

 旧譜を有難がるのが関の山で、自ら足を踏み出す勇気がない。

 反省(または愚痴)が増えそうなので、今回はここで止める。