◎病棟日誌「悲喜交々」12/13 「周りに誰もいなくなる」
火曜は眼科からスタート。「血液サラサラ」の薬を複数飲み、注射もしているから血管が破れやすい。目から出血するのは、網膜のことが多いのだが(糖尿病性)、当方は硝子体の毛細血管が破れる。目だけでもなく全身でも起きているから、時々、突然に眩暈が起きる。これは脳。
眼科はとにかく待ち時間が長く、院内他科だから「一番」で入れて貰うのに、瞳を開く点眼(麻酔)が当方にはきき難いので、二度三度と繰り返すから、その間待たされる。
この日は看護師がじれてどっと薬を入れたので、目の前が真っ暗になる始末。
診察が終わり、病棟に戻ろうと歩き出したが、ヨレヨレなので長椅子に躓いたりした。
すると、どう見ても70くらいのバーサンが、「無理しないでここに座って」と席を譲ってくれた。おまけに看護師を呼ぼうとするので、「あ、結構です。上に行きますから」と答えた。
こういうのは心的ダメージを得てしまう。
病気のバーサンに席を譲られたんじゃあ、「俺はそれ以下」ってこった。ま、実際、先の無い障害者だ。
腹が立つなあ。よし、これまで以上にあちこちに刺さってやれ。旅は道連れだぞ。
死出の旅だって同じことよ。
病棟に戻ると、体温がやっぱり34度。これはまあ、ロビーに長いこといたせいだ。カーディガンを羽織って行ったが、入り口から風が入る。
この日の担当医は、K大派遣の非常勤の女医だ(三十台)。この医師も問診が長く、「とにかく自分流儀に」処方を変えようとする。なるべくスルーしようと、「今は快調です。絶好調と言ってよい」と対応するが、看護師が余計なことをしやがって、「眼科に行ってます」とかナントカ。
これでまた長い問診が始まった。
途中で、女医が急に「ゲッホゲホ」とせき込む。アレルギーなのかと思ったが、その後もあちこちで尋常ないくらいせき込んでいた。
「あれあれ。あの医者、風邪を引いているんじゃないのか」
インフルだったら、えらい迷惑だな。
だが、マジで苦しそうな時があり、その時に気が付いた。
「この姉ちゃんは、きっと真面目な性格なんだな」
自分なりにきっちりやろうと思うから、足を止め考えてしまう。「ま、いいか」とか「とりあえず」はなし。
それも一生懸命のうちだってことだ。
「ふうん。やっぱり癖のある奴は何かしら見どころがあるということだな」
インフルに感染したかもしれんが、まだ発熱には至っていないから、きちんと仕事に出るわけだ。
その律義さが、死と破壊を招くことがあるわけで。
調子が悪かったら休めよな。
でも、この女医のことは少し見直した。ほんの少しだけ同類でもある。「普通の人」の範囲か「偏屈」かの違いだけ。
結局、治療の終わったのが四時頃で、病棟を出る最後の患者になってしまった。
更衣室に行くと、O君がいたので、この日持参したリンゴを分けてやった。いつもいびきが煩いだろうから、隣の女子患者に上げようと思ったのだが、朝は眼科に行っていたし、午後はあちらが先に帰ったから、渡すタイミングが無かった。
O君は見違えるように良くなった。幾らかは貢献したと思うが、そんなことはどうでもよい。当方が見ているのはO君の「後ろ」だったから、当方のことなど忘れるのが一番良い。後一年くらいで結婚するのだが、O君には娘が出来る。子どもはその一人だけ。
依然として、事故や災難がちらついているから、人一倍注意する必要がある。これは一生続くから、娘を父無し子にしないように心掛けること。
九時間も病院で過ごすと、さすがに疲れる。
帰宅して夕食を作ると、倒れるように横になった。
体よりも「何も出来ぬ自分」を許し受け入れる精神コントロールの方が難しい。
もはやいつでも「暗黒面に落ちる」用意は出来ている。
実際に落ちぬように、日々、悪心を宥める方法を探し続ける必要がありそう。
半年前に食用油1リッターちょっとの値段は290円だった。
今は同じ商品が450円だ。
そういう状況で、用途を示さず「税金を上げます」というヤツが総理大臣だ。いつも思うが、コイツは常に「ズレてる」と思う。パヨと変わりないくらいズレてる。
パヨがタコなら、岸田はイカだ。種類は違うが、殆ど味が変わらない。
ま、とかくタイミングが悪いのは、最初の総裁選で見えていた。