日刊早坂ノボル新聞

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◎古貨幣迷宮事件簿 「時代を測る」

◎古貨幣迷宮事件簿 「時代を測る」

 N04番の寛永銭について「資料的に重要」と記したのだが、ピンと来る人がいなかった模様だ。多少なりとも鉄銭に興味を持つ人に進呈しようかと思ったのだが、改めて眺めるとまだ幾つか課題があるようだ。そこで、この品は出品者である私が買い取って、少し調べることにした。この場合、一旦、出品の掲示をすると、出品者でも買い取りの手続きをする必要が生じるが、これは税法上の手続きによる。また、0.5ポイント分を上乗せして「寄付」に充てれば、私も抽選会に参加出来る。

 自分自身のツキ具合を確かめられるなんて、こんな面白いことはない。

 ちなみに、私自身の「引きの強さ」には自信がある。自分で選択肢を選べる場合は、必ず「当たり」を引く。それが証拠に、死にそうになっても治療方針を医師に任せず、自分で選択し、結果的に「まだ生きている」。

 

 さて、湯口の大きな背盛鉄銭は疑いなく幕末明治初年の製作だ。これは鹿角の銭箱から出た未選別の寛永銭から拾った、という背景が理由ではなく、鉄の地金と鋳造方法による。元々、北奥では「たたら製鉄」が盛んに行われていたが、明治初めに「高炉」が建設され、鉄の初段階の鋳造法が変わった。これより先に反射炉も導入されていたが、こちらは鉄以外の金属が中心だ。もちろん、純度が高ければ、鉄でも可能だ。

 今は電気炉を使って溶解するわけだが、どの手法でも取り出した鉄の質が違って来る。結論を先に言えば、今現在の手法では、幕末明治初年と同じ鉄は出来ない。

  このため、中央の背盛(輪幅:内径比により推定)は、確実にその当時のものと言える。同じものが作れぬなら、判断は容易だ。

 

 ところが、右の銅銭と雰囲気が非常に似ている。銅銭は南部仰宝の鋳放で、いわゆる称浄法寺銭になる。これは枝銭からペンチ用の器具で折り取ったものだが、1)湯口が広く、湯道が太いこと、に加え、2)枝から故意に折り取っている、ところが極めて似た操作だ。仰宝の方は、そもそも枝銭として奉納用か飾り用として作成したものを何らかの事情でばらしたと思う。ま、その事情とは「一枚ずつ売った方が儲かる」ということだ。本来は繋がっていた筈だ。

 ともあれ、鉄銭の背盛と、銅銭の仰寶が「同じ人の手になる」なら、銅銭も幕末明治初年の製作だという見解になる。

 湯口や湯道をこのような設定にすること自体が、通貨では考えられぬから、時代を超えて「たまたま」似たものが出来たとは考えにくいわけだ。

 銭箱の中には何百枚かの銅銭と、小数枚の鉄銭が入っていたのだが、その中からこの品を見付けた時は、思わず戦慄を覚えた。

 自分自身も含め、コレクターの多くがボケナスだったかもしれぬからだ。

 称浄法寺の鋳放銭は、貨幣鋳造のルールから外れるから、地元の人でも「せいぜい明治中期以降の作」だと思っている人が多い。これが他地域で北奥の貨幣をよく知らぬ人なら、「贋作」だと見なしてしまうかもしれぬ、

 それだけ貨幣を密造する際の「効率性優先」のルールから外れているということだが、通貨としての製作ではなくとも、「時代がある」可能性があるということになる。 

 しかし、その後、類品の出るのを十数年待っていたが、「湯口が広く、湯道の太い」鉄銭にはお目にかからずにいる。結局、結論は出ぬままになっている。

 加えて、「もう少し観察しよう」と思うに至ったのは、「寶」字の変化だ。寶足を見ると、異足寶の配置にそっくりなのだが、全体がかなり歪んでいる。「浄法寺背盛」(称浄法寺銭ではない)の面背研ぎ落としの銭種によく似ている。

 

 北奥地方の貨幣が他地域と明らかに異なるのは、通貨の場合、背盛や仰寶など固有銭種自体が少ない一方で、「写し」の類がやたら多いことだ。

 密鋳銭にはそれに関わった人の流儀が反映されているので、鋳銭法を観察すると、それを作った工法→人→鋳銭地に繋がって来る。

 いつも記す通り、型分類では太刀打ちできぬという面があるわけだが、そこが面白いところではある。

 

◆抽選会について

 十三日時点で「優先出走権」を得た人は五人で、盆回しから三人、直接発注から一人、それと私の構成だ。「直接発注」は出品掲示前に発注があった人になる(雑銭)。

 まだニ三人程度の余裕はあるので、十八日頃まで「追加登録」を受け入れることにした。ただし、この後は、ポイントで言えば「2ポイント以上を得た人」、もしくは個別注文で「2万円以上」の注文をした人、先着三名まで、という条件を設定させて貰うことにした。これも「勝負」のひとつだということ。

 競馬でも初期登録のない馬は、追加登録の料金を払って参加する。

 なお、当選者が出なかった場合、賞品は次回の「新年盆回し」に繰り越すものとした。

 中山競馬場の2500㍍と言うことで、「内枠の先行馬」が有利は定説だが、皆さんそれをご存じのようだ。なお、JRAによるゲート枠の抽選会は二十二日に行われる。

 なお、出走頭数が18頭に満たず、選らんだ馬番が無くなった方はその時点で「敗退」となる。選び直しはないので、16番くらいから先は注意が必要だ。