



◎古貨幣迷宮事件簿 「雑銭の話」
まず初めに「雑銭の会」の連絡事項から。
新年盆回しに多数の応募をいただき有難うございます。欲しい品がかち合っているようなので、なかなか買えなかったと思いますが、首尾よくポイントを得られた方が居られますので、予定通り、「抽選会」を実施するものとしました。
決着していない品がありますので、登録締め切りのみ18日頃まで延期します。
まだ間に合いますので、これからでもどうぞ。
ところで、私は直感が立つ方で、前回も「この辺」と見込んだのが「10」でした。
結果、一等は「9」でしたので、かすってはいたようです。
今回は「当たりが出る」気がしますので、なるべく自分が当たるように、予め「8」を押さえさせていただくことにしました。
ま、予想しているわけではないので、なかなかピタッと当たらぬとは思います。
どなたかが引き当ててられれば、新年として目出度いですし、外れれば次回も開催できます。
(訂正)ポイント取得予定者で「8」をご希望の方が居られたので、「8」はその人に譲ります。これは本当に引かれてしまうかも。ちと弱いが私は「3」に。
さて、在庫整理も終盤に来て、書庫の奥まで到達しました。後は巾着袋や桐箱の中身を開いて処分することになります。
◆巾着入りの雑銭
雑銭の会の買い入れでは、ほとんどが記念貨・現行貨でしたが、時々、巾着袋のまま持参する人もおられました。
画像の内容になると、出し入れが無くなったは昭和三十年頃だと思います。
二十五年くらいの穴無五円貨が混じっていますが、一円黄銅貨も幾つかあります。一円黄銅貨は割と早くに使われなくなったので、もっと早く紐が括りつけられたのかもしれません。
古銭収集家の喜ぶ珍しい品は、この手の巾着袋には無いのですが、「何時頃仕舞われたか」「どういう人が仕舞ったか」を知ると、「どういう風に扱われたか」を推測することが出来ます。
貨幣なので、要件として「流通の性質」は重要だと思います。収集家の盲点になっていたりするので、まずはウブい状態の品に触れることを心掛けるのがよいでしょう。
その意味では、昔風の古道具屋が今や絶滅危惧種なので、ネット中心の収集環境は便利なようでいて、実は不便ではないかと思います。直に手で触れる機会が少ない。
◆桐箱入りの雑銭
母の生家は古い農家で、部屋が十幾つありました。使っていない部屋が沢山あったのですが、箪笥の引き出しを開けると、桐箱が沢山入っていました。
小物を整理するために小箱に入れたわけですが、勲章などに混じって、古銭の箱も幾つかありました。
引き出しの奥にバラバラッと落ちているのは銅貨やアルミ貨だったのですが、さすが桐箱には銀貨類が入れられています。
中身は後で出し入れしたと思いますが、この桐の箱自体は、小学生の時に祖母に貰って来た箱ではないかと思います。
今はただ懐かしい。
◆豆板の出所
「東(江戸)の金遣い、西(大阪)の銀遣い」みたいな言い方をすることがありますが、実際には、埼玉で豆板の類はよく出ます。
川越周辺の旧家には、今も道具箱に何箱か分の丁銀や豆板銀を所有しているところが幾軒もあります。旧家ではそれを売る必要も無いので、現物を見て真贋を伝えるだけのことが多かったです。
売買が生じたのは、知己の古道具店経由でしたが、入る時にはそれこそ百個単位で入ります。穴銭党には必要のない品ですが、ある時、北奥の雑泉氏と「雑銭」繋がりで話をした時に、豆板の状況について話題にすると、雑泉氏は「言い値で買うから、この先は私に全部くれ」という話をしたのです。
値切られるとまけたくなくなりますが、「言い値で良い」という姿勢だと、安く分けたくなるものです。雑泉氏には幾度か「ほぼ原価」でお送りしました。
蔵出しのウブい品ばかりだったので、喜んでもらえたと思います。
かたや個人のコレクションを買い取る方では、昭和の偽物が多く、注意が必要でした。当人が亡くなった後に世に出る品には、真贋が記していないことが普通です。
家族はそれが偽物だと知らないので、がっかりすることになります。
また、一括条件で買い取ると、その中には「某氏作」が必ず混じっているので、気が抜けない。その手のははじいてあるわけですが、何年か前に「参考品」「見本」として知人に進呈しました。
今出て来たのを見ると、かつて雑泉氏用に取り置いた品が残っていた模様です。
雑泉氏が物故されてから、もはやかなりの年月が経ちますが、この品を見ると、A市内の居酒屋で話した時のことを思い出します。
ちなみに、内容は古貨幣の話などではなく、「この街でどう遊ぶか」のような話でした。
雑泉氏のことを思い出したので、今日は何時になく「です」「ます」調になりました。北奥のヤクザな夜を思い出し、改めて合掌。
次からはまた「このヤロー」調に戻します。