日刊早坂ノボル新聞

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◎古貨幣迷宮事件簿 「年末盆回しの品評その5 と 抽選会の仕様」

◎古貨幣迷宮事件簿 「年末盆回しの品評その5 と 抽選会の仕様」

 さて、年末盆回しに関する仕様が定まったので、ウェブの方に開示した。

 とりわけ抽選会の対象は「12月13日までにポイント付き品物を購入された方」となっている。概要は次の通り。

 1)出品物には、各々にポイントが付いている。12月13日までに得たポイントの合計点がその人の持ち点になる。

 2)ポイント上位の人から順番に、1から18までの数字からひとつ選んで貰う。これは、12月25日に開催される有馬記念の馬番にあたる。

 3)有馬記念の結果により、1着の馬番を選んだ人が一等賞、2着が二等賞、と着順通りの馬番が当選数字になる。これは公平性を期すためで、数字を選んだ段階では、出走枠が決まっておらず、どの馬がどの馬番に入るかが未定である。

 なお1等は「中国銭セット」(出征軍人が大陸で買い集めたコレクション・購入時十万円)、2等が穴銭雑銭1.5キロ(4、5百枚)、3等が近代貨雑銭(主に青銅貨)1.5キロなどで、「掲示板に乗った馬番5着まで」が当選となる。雑銭類は、倉庫に放り込んであった品なので、経緯は分からない。近代貨は完全未選別である(検品することがなかったため)。

 なお、これも勝負のひとつなので、当選者が出なかった場合の賞品の繰り下がり措置はない。この場合は「当選者なし」となる。売れ行きによっては、賞品を追加ずる場合がある。また18番までが総て選択された場合は、その時点で締め切りとなる。これはそれ以上の枠が無いためだ。

 まずは「購入してポイントを得ること」が不可欠で、次に「当たりを引く運を持っている」という条件が必要になる。普段から雑銭を入手して、撰銭をしている人であれば、希少品を引く練習をしているので、当選数字を引けると思われる。

 詳細はウェブ版「古貨幣迷宮事件簿」まで。→   古貨幣迷宮事件簿

抽選会の概要

X07 南部地方 神社奉納用 鉄枝銭 

 地方によってものの見方が変わり、奥州の外の人によると、この枝銭が「見ずぼらしく見える」らしい。地元民からすると、この手の品は「幕末明治初年のバリバリの本物」で、神社への祈願用に奉納した品か、神社が祭祀に使う品だ。歴史と伝統の証拠証人のひとつになる。

 通貨であれば、枝銭がそのまま残っていることはない。切り離して使うことが目的で、これが終わってから先の仕上げに進む。

 たまたま小枚数の枝銭が残っていたりするが、銭座の記念品的な性質の品だったり、神棚への捧げもの、あるいは、後代(明治以降)の「お金・銭の生る木」という縁起物や飾り物などだ。

 通貨であれば、当百銭でもひと型百枚単位で鋳造するし、寛永銭なら三百枚から五百枚をひとつの枝で鋳造する。要は素材(溶金)をどれくらい作れるかによるわけだが、明治の初めには、るつぼやたたら炉ではなく、高炉と反射炉を使用しているから、一度に溶かす金属の量が増えている。そうなると、「全体がきれいにまとまった、枚数の少ない枝銭」は、「見せるために作った」ものかもしれぬ。

 この手の品にはそういう不安はない。ほとんどが実際に神社の梁に打ち付けられていたものだ。

 貨幣の密造は飢饉と関りが深く、とりわけ文政から天保の飢饉の際には、北奥地方では餓死者が多数出るほどだった、八戸領でも多くが亡くなったので、鉄銭の密造は生き延びるために必要な行為だった。幸い、砂鉄と木材(炭)はふんだんにあった。

 もちろん、これが露見すれば死罪とされるかもしれぬ。神さまの助けが必要だから、富を祈願する「枝銭」を作り神社に奉納した。

 鉄の「見すぼらしい枝銭」には、歴史の重さがある。好事家を喜ばせるために作ったものではないのだ。

 ま、古銭家は歴史とその中で生きた人のことには興味がさらさらなく、専ら「手の上の金屑」についてのみ関心を注ぐ。きれいかどうか、味があるかどうか、時代があるのかどうか。道楽とはいえ、これはどんなものだろう。

 もちろん、私もその好事家の仲間だったわけだが、さすがに幾らかは学ぼうという意志はあった。

 

 脱線したが、この品は地元の某氏が亡くなられた折に売り立て会で入手したものだ。

 品物自体は、元々、K氏の所有物だったが、当人に聞いたところでは、「ある人が沿岸の廃神社の梁に打ち付けられているこれを見て、失敬して来た品」と説明してくれた。だが、K氏が亡くなった後で、別の人が「ある人とはK氏自身のことだよ」と言っていた。いずれも噂話の域で、真偽が不明なので、氏名は伏して記す。

 荒れ果てた山の上の小神社の梁に鉄の枝銭が飾ってあるので、矢も楯もたまらず、外して来た、とは、まさにコレクター心理そのものだ。くれとも言わずに持ち去る人が山ほどいる。逆にきちんと代金を払って購入しているのに、「いつの間にか無くなった」とこぼす人もいる。高齢だということだが、濡れ衣を着させられてはたまらない。

 私の場合はボケてそんなことが起きぬよう、証拠を揃えて参加者の記念写真まで撮影している。 

 

 ちなみに、称浄法寺鋳の鋳放銭は、湯口の位置がランダムで、当百銭の真横に広く付いているものがある。あれでは切り落とすのが困難で、いちいち鏨で撃ち落とすしか方法はない。となると、一枚ずつが必要だったのではなく、繋がった形での利用を考えたと見る方が自然だ。あれを枝銭でなく、個別に落としたのは、作成した者ではなく「ばらして売れば売れる」と考えた者だろう。

 「一枚ずつ小箱に入れて作った」という説は真っ向から否定できる。ひと枝百枚超で鋳造しないと採算が取れなくなるからだ。

 注記)いつも通り書き殴りで、推敲も校正もしない。

 出品整理と解説は、私が行う必要があるので、今後もゆっくりになる見込みだ。

 抽選会は品物点数が少ない方が有利に働くと思うので、うまく引き当てると良いです。

 ちなみに、私なら「自分自身で選ぶ」要素があるなら、必ず上位を引き当てる自信がある。わざわざこの試みをするのは、どの人がどれくらいのツキを持っているかを測る意図による。