日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎病棟日誌 悲喜交々 9/2 「自分で畳みます」

病棟日誌 悲喜交々 9/2 「自分で畳みます」
 この日は通院日。目が不自由でも通院しなくてはならんから、割と気を遣う。文字は見えないが、景色は分かるので、通り慣れた道なら運転も大丈夫。ま、隻眼の人でも免許は取れる。

 病棟には七十台の介護士が一人いるが、患者の方は、自分のことで精一杯だから、話し掛ける人はいない無いらしい。ま、職員の名前も聞かぬことが多いが、当方も大半の看護師の名前を憶えていない。長く付き合う関わり出も無いわけで。

 治療終りに掛け布団を畳んでいたら、その介護士のバーサンが「そんなのはしなくていいよ」と言う。
 「片付けは私らがやるから、そのまま放っといていいよ」
 いやいや、そうはいかんよな。他の人のためにやっているわけではなく、自分が気が済まぬから片付けているわけざんす。
 「畳まないで帰ると、トイレに行ってケツを拭かないで出るような気分がするんだよ」
 「几帳面なんだね」
 いやいや、ただの習慣だ。今では病院のトイレの消毒だってこっそりやっている。不足品があれば受付に行き、消毒液が足りないなどと告知もしているが、それも習慣になっただけ。
 土俵に上がる時に「俵を跨いで右脚から入る」のと同じことだ。大谷選手だって、ラインをぴょんと飛び越してマウンドに向かう。こういうのは意識せずにやっている。

 画像はこの日の病院食。たぶん豚丼だ。
 「たぶん」と言うのは、完全に赤味だけで脂が無いから、これが豚なのか牛なのかの判別がつかない。肉の風味は脂によるところが大きいから、脂の無い肉は味がよく分からない。
 この量でも、肉が入るとちょっと「余計な」気がする。
 体の水分りゅおうが減った時に、赤味肉を食べると、途端に胸焼けがする。

 この日の朝、バイタルチェックをしたら、体温が34度、血圧が100を下回っていた。
 看護師が右往左往して、治療内容を変えたが、こういう時には本当に説明に困る。
 「俺には今、幽霊が乗っているから、バイタルが低化するんだよ。神社かお寺に行ってご供養すれば落ち着くから、普段通りで良いです」
 てなことを言うわけにもいかんので、「ま、お任せします」と答えた。
 だが、前回懲りたので「薬の追加は要りません」と付け加えた。
 目先の対症療法・投薬ほど患者の寿命を詰めるものはない。

 そそくさと昼食を食べ、すぐに最寄りの神社に行った。