日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎500グラムのステーキ

500グラムのステーキ
 今日は家人の誕生日。
 早起きしてスーパーに行き、ステーキ肉を買って来た。
 家人だけ500グラムの特大にした。

 ウン十年前に、大学の非常勤講師と研究所員の掛け持ちをしていた頃、家人はパスタ屋でレジを打っていた。
 研究所の近くだったので、時々、昼飯をそこで食べた。
 半年くらい、話をしたこともなかったのだが、ある時に店が混雑して、レジの前に座ることになった。
 パスタを食べて、つい見上げると、そこに家人がいた。
 その時、即座に「ありゃ。俺はこの人と結婚するんじゃないか」と閃いた。
 当方は何よりも直感を信じる方だが、あれこれあって、結果的に三か月後に実家に連れて行った。

 実家滞在中に、ステーキ屋に入り、ご飯を食べることにした。
 すると、ステーキの特大500グラムか600グラムのメニュウが書いてあった。
 細かいやり取りは忘れたが、当方が「貴女には絶対に無理」だとからかうと、「食べれます」と言う。
 実際に注文したが、さすがにデカいので、当方は「俺が悪かった。腹具合を壊すかもしれんから、無理はしないでくれ」と謝った。
 だが、家人は「そんな勿体ないことは出来ない」と、ゆっくりと全部を食べた。
 その時に、二度目の閃きがあり、「俺は結婚は一度きりで、もし離婚すると、その後は死ぬまで一人でいる」と思った。

 ま、そうは行っても、当方の飲む打つ・・・は止まらない。
 家人は人あしらいが上手だから、この出入りの多いダンナでない「別の男」と結婚してれば、金持ちになっていたと思う。
 
 この時の閃きは、ひとつ前の直感と関係していた。
 実家の近所にヒデコという同級生がいたが、高校生くらいの時に、「自分はコイツと結婚するかもしれん」と思ったことがある。ヒデコちゃんは、ちとオツムの弱い女子で、特別学級にいた。
 それが見えた瞬間、正直、「まさか」と戦慄を覚えたのだが、家人の目の奥には、そのヒデコちゃんと同じ光があった。
 「昔、何か繋がりがあったのだ」と思う。もちろん、生まれる前に、という話だ。
 たぶん、この伏線があったから、初対面の時に家人の「眼の光」を見て、「結婚するんじゃないか」と閃いたと思う。
 ヒデコちゃんには申し訳ないが、それが家人でよかった。

 自分の人生で、最上位に置いた女性は、東の正横綱が母で、西の横綱が家人だ。今は母がいないから、家人が最上位になった。
 外で飲んだり打った位買ったとしても、必ず家人の許に帰る。
 苦労を掛けるのも、あともう少しの間だとは思う。

 家人は忘れているだろうが、ダンナは、これまでの感謝を込めて、今日はあの時と同じ特大のステーキを焼く。