日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第1106夜 「死にたい」

夢の話 第1106夜 「死にたい」
 十二日の午前一時に観た夢です。

 夢の中の「俺」は中小企業の経営者だ。
 日中は女子社員と共に営業に駆けずり回り、夕方に戻って、今度は請けた仕事の中身を詰める。夜になると、資金提供者から誘いがあり接待麻雀。毎日十六時間は働いている。
 シンクタンク系の零細な会社には銀行は金を貸さない。個人で融資してくれる人を見付けて、金を貸して貰うわけだが、個人だけに付き合いが生じる。先方は「貸してやってる」という意識があるから、気軽に酒席や遊びに呼び付ける。
 旅行や釣りに付き合わされることもあるが、日頃は主に麻雀だった。先方もこちらが夜中まで仕事をしていると知っているから、電話が来るのは九時頃だった。
 概ね半荘ニ三回で、そのうち金持ち仲間が顔を出すので、そいつと交代。
 ル-ル以外に「やってよいこと」「やってはダメなこと」があるから、これを恣意的するのが俺の役目だった。若い頃に暴力団と打っていたので、こういうのには詳しい。
 いいつも長く打つことはないが、この夜は最初から連敗してマイナスを囲った。常連の社長が来なかったので、延長戦に入り、結局朝まで打った。
 そのまま勤めに出て、着替えをして普通に仕事をする。
 この日の要件は役所で、営業の女性と一緒に手続きをした。
 ま、実務は女性が心得ており、俺は代表として顔を出すだけ。

 二件ほど回り、思ったより長くかかった。
 さすがにしんどい。
 午後三時頃に食事をして、会社に帰ることになったが、先に女性を行かせることにした。
 連日、この調子で、体がもたなくなってきていたから、公園でひと休みしていくことにしたのだ。
 ベンチに座り、うつらうつらした。
 「もう何年もこういう生活をしている。状況的に仕方がないが、そろそろ限界だな」
 俺が独立したのは三十歳の時で、ややフライング気味だった。
 徒手空拳の若者には、看板もコネも無いから苦労するのは分かっていたが、体が何時まで持つことやら。
 疲れた。
 すると頭の中に良からぬ考えが響いた。
 「こんなことなら、もう死んでもいいな」

 ここで俺は我に返り叫んだ。
 「ちょちょい、ストップストップ。眼を覚ませ」
 ここで覚醒。
 現実にあった過去の出来事や現実には無かった状況を交え、絶望感を与える。で、良からぬことをそそのかす。
 これが憑依だ。
 さすがにこういうのには慣れたが、そもそも「もう死にたい」と呟く声が自分のものではない。
 「現実の俺も、夢の中の俺も、女じゃねーしな」
 夢の中でまるで自分が考えたことのように響いた声は、紛れもなく女の声だった。

 たぶん、コイツは駅で拾ったヤツだ。
 つくづく電車なんて乗るもんじゃないと思う。。
 駅では「人身事故」が頻繁に起きるが、このほぼすべてが「死にたい」という念で凝り固まっている。
 駅の中で一番ダメなのが新宿東口。

 

 そもそも私はじっとしていたってどうせ半年一年の命だ。放っておいても長いことはないから、「死にたい」などと思う筈がない。あえて自ら死を選ぶ必要がないのだ。
 就眠中には、脳が休んでおり理性が働かぬので、記憶を利用しストーリーを作って、心に否定的な感情を吹き込んで来る者がいる。
 幸か不幸か、その手の声は、判別が容易になっている。

 他の人の頭の中のことは分からぬが、どれくらいの人が、覚醒時、就眠時を問わず、「頭の中で別の者の声が響く」経験をしているものなのだろうか。
 私は「この世の者ならぬ人影」を発見すると、そいつの心の中にあることがすぐにあれこれと頭に響く。
 時々、「この女はこういう者で」と書くのは、その当人が語るからということだ。

 妄想の範囲だと思うが、自分の声ではない。