日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第87夜 不倫 その4

(夢の中ではすぐに翌週にジャンプする。)

次の週の水曜日、準備をして待っていると、携帯が鳴る。
「来たわよ」
自宅の玄関を出ると、スポーティな4WD車が停まっていた。
レイコは男勝りの性格で、服装にはほとんど気を使わないが、車には惜しげもなく金をつぎ込んだ。
これも昔のまま。

3月の下旬だというのに、霙(みぞれ)が降り出していた。
今日は時間が掛かりそう。
冷静に考えてみると、レイコが自ら運転してくるのなら別に迎えはいらず、私が自分で往診に向かえばよいはずなのだった。
「オレが行っても良かったのに」
「今日は時間が無いのよ」
「え?」
レイコはシャキシャキとギアをチェンジする。
「資産管理だけが仕事の会社でも一応は社長だから。帰りはウチの下村が送ります。この霙、雪になるかもしれないから」
何年か前にも、桜の花の上に雪が積もったことがあったなあ。
「基本的に休診日だから、今度からオレが自分でそっちに行くよ」

レイコは答えず、ハンドルを切る。
運転同様に、フロントのワイパーもせわしなく右左に動いていた。

「どこでも良いかしら?いいわよね。あなた、細かいことは気にしないタイプだったから」
「は?何のこと?」
赤に信号が切り替わる寸前に交差点に突入。
「お尻触って」
レイコは尻の左側をほんの少しだけ持ち上げた。
「ほら、早く触って」
手を伸ばし、尻と座席の間に手を差し伸べる。
スカートの下には直に肌の触感があった。
「来る途中で脱いできちゃった。あ、あそこのホテルで良い?」
幹線道路から少し外れたところに、シンプルな看板が見えていた。

「せっかちなヤツだよな。同じできちゃうにせよ、食事に例えりゃワインとかオードブルとかはないのかよ」
レイコはくすっと笑った。
「お腹が空いてるのよ。わかるでしょ」

車はこぎれいなホテルの駐車場に入っていく。
レイコは入ってすぐ、入り口近くの駐車スペースに車を泊めた。
「ここじゃ外から見えないか。誰かに見られたら都合悪くはないの」
「私は平気。都合悪いのはあなたでしょ。だから私が迎えに来たのよ」

レイコは私の右手に手を添えて静かに引き、スカートの中に導いた。
「家を出たときから、こんなステキなことになってるわよ」
指の先がすぐに柔肌に触れる。
「確かに、これじゃ断れないね」 

(続く)