日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第113夜 海岸にて

 車で海岸沿いの道路を走っていると、何やら小雨が降ってきました。
 窓を閉め、そのまま数キロほど進んだところで、前には十数台ほど車が停止していました。先頭の車の先は道路が下降しているのですが、そこにはざんぶりと波が上がっています。
 今いるところがちょうど丘陵の上のようで、後ろも低くなっているのですが、そこにも波が上がっています。
 あれまあ。このままだと、いずれここも水没するのかも。

 前の車もそのことを知っているのか、皆エンジンをふかしたままの状態です。
 波が引く際に、ほんの少しの間だけ車が通れるくらいの水面の高さ(30センチくらい)になるので、その間に数台ずつダッシュして向こう側に渡っているのです。
 うへえ。ぎりぎりのことをやってます。途中で波につかまったら、海に引きずりこまれお陀仏です。

 でも、じっとしていても、きっと10分は持たず水没してしまいそうです。
 気がつくと、私の後から来た車が横に並んでいます。向こうの運転手と眼が合い、無表情のまま互いに頷きました。
 何回目かの波の引き際に、私もダッシュし、なんとか向こう側に渡ることができました。
 前は急な斜面になってます。ここを登り切れば、波に攫われることもなさそう。
 後ろを振り向くと、先ほど隣にいた車はまともに波をかぶり、海に引きずりこまれていました。エンジンをふかしすぎ、タイヤが空回りしてすぐに発進できなかったのでしょう。
 こうとなっては、どうにも助ける手立てはありません。
 もしかすると、今が9月の大津波かもしれないので、自分だってまだ安心はできません。

 急いで坂を上りますが、これが勾配が30度に達しそうな急斜面で、全く前に進めません。前にも同じような車が何台か止まっているのが見えます。私が乗っているのは4駆なので、ソコソコは登れるはずなのですが。
 ぎゅんぎゅん、アクセルを踏み、坂の半分を越えました。
 よし、もうちょっと。

 しかし、地面がぬかるんでいたのか、車がずるずる後退し始めます。
 もう少しだったのに。また最初からやり直しです。
 ここでふと、道路の脇に顔を向けました。
 道路の30メートル横には線路があるのですが、そちらは山を切り開いて作ってあったので、道路よりかなり低くなってます。
 すると、すぐさま後ろから列車が突っ込んできて、私の車の真横で思い切り脱線しました。
 列車はぐしゃぐしゃに潰れ、物や人が乱れ飛ぶのが見えました。路上に土砂が崩れ落ちていたのですね。
 今は負傷者を助けるどころではなく、次に来るであろう大津波を避ける必要があります。
 車を降り、足でこの坂を越えるとして、何分で行けるかな。
 そんなことを考えつつ、ドアを開け、車を降り、斜面を登り始めました。
 20メートルほど上がり、ふと左側の海を向くと、はるか遠くに高い水の壁が見えます。
 あと3、4分であの大津波が海岸に到達しそう。
 それまでに上まで登りきることができるだろうか。上に登れたとして、そこが津波より高い位置にあるだろうか。
 自分で想像していたより、はるかに冷静に、私は「この世の終わり」を眺めていました。

 ここで覚醒。
 先ほど、1時間ほど仮眠を取った際に見た夢です。
 水に関係した話なので、感情に関わるものだろうとは思います。