日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第257夜 氷の海

先ほど、テレビの前で寝入った時に観た短い夢です。

避暑地のアルバイト期間が終わり、最終日に仲間8人で泳ぎに行くことにした。
ここは海の近くの観光地で、それまで働いていたホテルのオーナーが、1泊だけ自分の別荘を貸してくれたのだ。
上手い具合に、男女4人ずつのメンバー構成。
オレは女性スタッフの1人、京子ちゃんがお目当ての子だ。

これから京子ちゃんと付き合い始めることになってはくれまいか。
ま、よしんば付き合うことになったとしても、夏に始まる恋は秋には終わる。
でも、初めが来なけりゃ、終わりのことを心配してもしょうがない。
などと、オレの頭の中は妄想で一杯だ。

別荘に着いて、すぐに建物の中に入った。
「スゲーじゃん。この広さ」
大広間は30畳くらいの広さがあった。
ベッドルームは4つ。
「2人ずつでちょうど良いよな」
そう口にすると、女の子たちが一斉にオレのことを見た。
「いや。男が2人ずつ2部屋。女が2部屋という意味だよ」
アメリカのホラー映画の冒頭場面じゃあるまいし、当たり前だろ。

とりあえず、広間で腰を下ろす。
京子ちゃんが、海側の窓を開けると、ひゅうっと風が吹き込んで来た。
「ここは結構風通しが良くて涼しいわね。夕方になったら、きっと寒いくらいだわよ」
ほっそりした後ろ姿がきれいで、オレはしばらくの間、京子ちゃんの背中を眺めた。

「あれ?あれは何?」
京子ちゃんが海を指差している。
「あれって、津波?」
オレは慌てて窓際に走る。

窓から外を眺めると、沖合で海水面が盛り上がっていた。
「あれは津波じゃないよ。潮流が強いので盛り上がって見えるだけ。夏の終わりだもの。大潮が始まるところだろ」
「ふうん」
オレの説明に、京子ちゃんは納得したのか、広間の中央に戻った。

オレは1人で窓際に立ち、そのまま海を眺める。
(潮がざざざあっと満ちてきたりしてなあ。)
まさかね。

ところが、沖合の盛り上がりは、そのままの勢いでこちらに向かっていた。
海水面が上に上がっている感じで、正確に言えば「波」ではないが、何か異変が起きているのは確かだ。
外を見たまま、後ろの男子に声を掛ける。
「おい。ここはどれくらいの高さにあると思う?」
これに仲間の1人、ケンジが、オレの背後から答えた。
「海際は崖だから、30から40メートルはあると思うよ」
「なら潮がここまで寄せることはないよな」
「ああ。大潮がこの高台まで寄せることはないだろな。もし来るなら、それはこの世の終わりの時。箱舟でなけりゃ逃れられない」
オレは後ろを振り向いて、ケンジの顔を見る。
「でも、なんだかヤバそうだぞ」
「え?」という表情で、ケンジが近寄ってくる。

「こりゃ不味い。あの高さなら、ここまで来そうだ」
「どうすりゃ良いんだろ」
2人で首をひねる。
「ここは、この地域で一番高い高台にある。なら、他に逃げ場はないよ」
「神に祈るしかないか」
「ウン」
「他の連中にはどう言う?」
「運を天に任すんだから、何も言わなくても良いよ。あの状態だし」
海水はすぐ間近まで迫っていた。

しかし、やはりオレは後ろの仲間たちに声を掛けた。
「皆。すぐにこの建物で一番高いところに行こう」
「え?」と皆が一斉にオレの方を向く。
まあ、気休めだけどね。

しかし、ふた呼吸もしないうちに、海水が押し寄せてきた。
ザッパーンと音を立て、水が窓からなだれ込んでくる。
オレたち8人は、全員がずぶぬれになった。
「寒い。何これ?」
窓から入ってきた海水で、建物中に海水が溢れた。
しかも、その海水には、沢山の氷が混じっている。
避暑地のリゾートどころか、まるで北極だ。

一瞬収まったかに見えた海水が、すぐに再び窓から入り込んでくる。
雪の溶けたのが混じった水で、一瞬にして体が冷えた。
「寒い」
京子ちゃんは腰まで水に浸かり、ぶるぶる震えている。

「こっちにおいで。京子ちゃん。こいつに流されたら、2分で凍死してしまう」
京子ちゃんがオレの所に来て、オレの体に腕を回した。
まるで「絶対に離さないわよ」と言わんばかりの力の入れようだ。

オレが望んでいたのは、こうやって京子ちゃんと抱き合うことだったけれど。
「こりゃ、ちょっと違うよな。と言うか、だいぶ違う!」

オレたちの目の前に「どどどど」と氷水が流れ込んできた。
こりゃ、本当にヤバい状況だぞ。

ここで覚醒。

氷雪混じりの海水が押し寄せるイメージは、何か心の状態を示しているのでしょう。
夢らしい夢と言えます。