日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第300夜 恐竜を掴まえる

朝、通勤・通学のため家族がバタバタしている最中に、うつらうつらしました。
これはその時に観ていた夢です。

谷の出口に、溝を掘っている。
20人が取りついて、大急ぎで作業を進めている。
溝の幅が2メートルで、長さは15メートルほどだ。
片側には、ワイヤーネットを張っているが、一目瞭然の獣罠だ。
熊や狸を掴まえる時のケージを大型にしたものということ。

「あいつらが動き出すのは夕方からだから、早いとこ終わらせないと」
何せ夜行性だからな。

暗くなったら、谷の上の方からあいつらが降りてきて、餌を探し始める。
羊を谷の中央に放せば、当然、それに目を付けたあいつらは狩り始める。
羊は反対側に逃げるが、それがこの罠の方向だ。

獲物の体長はほぼ3メートル。
恐竜にしては小さい方なので、俺たちは「ショーター(ちび)」と呼んでいる。
この谷には12頭のグループがいるので、このうち3頭くらいを掴まえる予定だ。

「先生。来ました!」
「何だ。今日はお早いお出ましだな」
罠を3つ設置する予定だったが、使えるのはまだ2つまでだ。
「ま、仕方ない」
急いで腰を上げ、谷の入り口の方に向かう。

すると、真ん中より手前で、羊がこっちに逃げて来るのが見えた。
「もう狩りが始まっているじゃないか」
俺たちは谷の斜面を上がり、通り道を開けた。
俺たちが羊の仲間に見えてしまっては、それこそやっかいな事態になるためだ。

羊が一目散に逃げて来る。
そのすぐ後ろには、ショーター3頭がついている。
羊が草むらから岩場に入ったところで、石に足を取られ転倒した。
「ああ。まずい。餌が捕まってしまう」
ここで羊が捕まったら、罠が役に立たなくなる。

ショーターたちは難なく羊に追いついた。
一瞬、「ダメだったか」と落胆したが、しかし、ショーターたちは羊では止まらず、そのまま前に走り抜けた。
羊を追い越して先に行ったのだ。
俺はすぐにピンときた。
「こりゃ不味いぞ。すぐにもっと上に行かないと」
「先生。どういうことですか」
「あのショーターたちを見ただろ。あいつらも逃げていたんだよ。てことは、後ろからでかい捕食恐竜がやって来ると言うことだ。走れ!」
俺たちは大急ぎで岩場を登り、20メートルほど上に登った。
岩の陰に身を隠し、様子を見る。

「やっぱり」
ほんの十秒後に、ティラノサウルスがやってきた。
息が荒い。
こいつなりに、全速力で走って来たのだ。
ティラノサウルスは、ほんの少しの間立ち止まり、息を整えると、また走り出した。
どす、どすと足音が響く。

「先生。すごかったですね。あれじゃ人間なんてひとたまりもない」
「体長はざっと8メートルから10メートルはあっただろう。かなり大型だな。あれで走れるのだから、本当に生き物は不思議だ」
しかし、驚いている暇は無かった。

すぐに、「ドッシーン、ドッシーン」と遥かに大きな音が響いて来たからだ。
「おいおい。まだ何か続いているのか」
岩陰から顔を出し、谷の前のほうを覗き見る。
木々の合間から見えていたのは、半端なく太い脚だった。
木の葉に隠れて、上の方は見えないので、どんなヤツかはわからない。
「何だありゃ。脚だけで6メートルくらいの太さがありそうだ」
「先生。もしかして、スーパ-サウルスとかジャイアントサウルスという奴ではないでしょうか」
なるほど。それなら5階建てのビルくらいの高さがありそうだ。

程なく、巨大な影が谷を覆った。
俺たちからは脚の付け根くらいまでしか、見ることが出来ない。
俺はここで思わずため息を吐いた。
「現実にあれを眼にしてみると、はっきりと真実が分かる」
あの巨大恐竜は、重力に逆らう存在だ。
かつては地球の重力自体が小さかったという説もあるが、たとえ3割くらい重力が弱くても、あの巨大な体躯を支えるのはほとんど不可能だ。ああいう帰結型は自然環境に適応した生じたもの、すなわち進化してああなったわけではない。
あの体では、自分の体の重さが苦痛になるだけで、良いことはひとつもないのだ。
あの生物が生まれたのは、自然や偶然のなせる業ではない。

「先生。それはすなわちどういうことを意味するのでしょうか」
助手の問いに、俺は大きく頷いた。
「それは君。あの生き物は、偶然が重なって出来上がったものではなくて、意図的に作られた造形物だってことだよ。あり来たりなものに飽きたから、時々暇つぶしに、ああいう変わりものを作ってみたくなるんだよ」

すなわち、この世は「神が作った」ということだ。
「しかも、その神さまは子どもみたいな性格をしているに違いない」

ここで覚醒。