日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第350夜 その後の「霊感」

今朝方、ほんの少しの間、うとうとした時に観た短い夢です。

毎日が本当に憂鬱だ。
だんだん眠りに就くのが嫌になってきた。
寝ようと思って横になると、つい習慣的に、自意識だけが起き上がってしまう。
体は寝ているのだが、思考だけが勝手に起き上がって、うろつきまわるのだ。

大体はこんな具合だ。
自分の部屋で横になる。
疲れているので、すぐに眠くなる。
ほとんど同時に、オレの意識だけが起き上がる。
ドアを開けて、廊下に出る。
階段をゆっくり下りる。
階段の上の方には、お坊さんみたいな男がうずくまっている。
天井の近くなので、「うずくまっている」はおかしな表現だが、体勢はそうだ。
なるべくそいつに興味を持たないように、そこを通り過ぎる。

だんだんコツが分かって来た。
今は色んなヤツが見えてしまうが、「関わりを持たない」ことが肝心だ。
いざ波長が合ってしまうと、そいつはオレのことを自分だと思って、オレの後をついて来てしまう。
普段は動けないが、誰か生きている人間におんぶ出来た時だけ、あいつらは移動できるのだ。

あいつらが気になって来ると、お祓いをしたくなったりするが、それは逆効果だ。
遠ざけようとすることは、興味を持つことと同じだからだ。
一切無視し、関わりを持たないことが大切なのだ。

階段を下り、居間に入る。
テーブルには女が座っている。
じっとうつむいたままだ。
たぶん生前の自分のことを、何度も繰り返し反芻しているのだろう。
何もせず、そこに座っているだけだが、女の幽霊はどこか気味が悪い。
男と違って、からっとしたところが無い。
じめじめしているが、そいつの座っていた所に座ると、実際にじめじめ湿っている。

そう言えば、昔、朝方の喫茶店に入ったら、酔った中年ババアが椅子に座っていた。
オレが店に入ると、その女が出て行ったので、その場に座ったら、座席がぐっしょり濡れていた。
こう書くと、その女は幽霊で・・・みたいな書き方だが、実際には、その女は泥酔した挙句、座りションベンをしていたのだ。
その時みたいに気色悪い、という話だ。

ところで、女の幽霊が椅子に座っている時、そこに座りたい場合はどうするか。
手で払うのはダメらしい。
人の手だと、向こうもこれが人の手だと分かる時があるからだ。
そういう時は、タオルとか布巾で、さりげなくパタパタと払うのが一番のようだ。
「全然、気がつかなかった」というそぶりでだ。

今の窓の近くには、爺さんが立っている。
何を考えているのかはわからない。
ただ立って、呆然としている。
おそらく、死ぬ直前も認知症で、死んだ後もそのままそれを引きずって、ぼおっとしているのだろう。

居間を出て廊下に向かう。
玄関までの間は要注意だ。
ここには髪の長い女の幽霊がいるが、こいつは時々、オレのことを見ている。
死霊の感じではないので、生霊かもしれん。
まあ、オレは女に惚れられるタイプだし(苦笑)、まとわりつかれるのも仕方ない。
そう思わないと、さすがに気が滅入る。
魂だけの存在は、どうしてこんなに暗いヤツばかりなんだろ。

この女は廊下を塞いでいることがあるので、そういう時は段ボールだ。
「オレとお前とは何の関係も無い。お前を救えるのはお前自身だ。オレではない」
こう念じながら、段ボールでバタバタとはたく。
まるで、生きている女との別れ際みたいな感じだ。
「この女とは別れよう」と思ったら、関係をぶった切ってやる方が、相手への思いやりだろ。
諦めが早くつけば、次の男に向かうことが出来る。
もちろん、縁の切り方の加減を間違えると、刃傷沙汰になってしまうわけだが。
縁の切れ目は、円の切れ目。
まあ、別れ際には何がしかの金を払ってやるんだな。
口座にある現金を全額渡すくらいの覚悟があれば、「そこまで別れたいのか」と相手も納得する。
そこをケチるから、相手もこっちを殺したくなるのだ。

廊下の端まで行き、玄関の扉を開く。
ここからがもっと問題だ。
外に出ると、遠くまで見えるが、幽霊のこともそれと同じだ。
家の前の道を、それこそ「ぞろぞろと」歩いていやがる。

朝夕の駅のプラットホームなみだな。
ため息を吐いて、もう一度、今来た道を戻り始める。

さあ、玄関からだ。
ここを開くと、きっと髪の長い女がオレのことを待っている。
段ボールはどこに置いたっけ。

ここで覚醒。

夢の話第332夜の「霊感」の後日談でした。
ほとほとうんざりしながら目が覚めました。