日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第396夜 別荘で

朝食の支度をした後、15分ほど居眠りをしました。
その時に観た夢です。

建物の中にいる。
窓の外には木々が生い茂っている。
どこか別荘みたいなところにいるらしい。

窓を開く。
回りは緑一色だが、かすかに潮の香りが漂って来る。
「ああ。ここは岬みたいなところだ」
岬の上に別荘が建っている。後ろはすぐに山が迫っている。
「おそらく俺はここの景色を見るために、この別荘を買ったのだ」
こりゃいいぞ。

後ろは森で、その先は山。
前には水平線が広がっている。
なるほど。のんびりするのにうってつけだ。

仕事をして疲れたら、裏の緑を眺めていれば目が休まる。
涼みたければ、前のテラスに出れば、海から風が吹いて来る。
ここはさぞ高かったことだろう。

山側の窓に行ってみる。
窓の外にはうっそうとした森が見える。
テーブルに戻って、コーヒーを淹れる。

何気なく後ろを振り向くと、窓の外に女が立っていた。
若い女だ。
その女は窓から部屋の中を覗き込んで、俺のことをじっと見ていた。
「このひと。どっから来たんだろ」
この周囲にはほとんど家は無い。隣の別荘までだって、1キロ近くあるぞ。
女はどこか寂しそうな顔をしていた。

俺はその女に声を掛けてみることにした。
「こんにちは。最近ここに来た者です。ご近所の方ですか?」
俺が声を掛けると、女はびっくりしたように両目を見開いた。
「あなたはどちらの方ですか?良ければ、一緒にコーヒーでもどうですか」
さらに話し掛ける。
誘ってみたのは、当たり前のことだが、その女がなかなかきれいな女性だったからだ。

しかし、女は返事をせず、後ろを向いて立ち去ろうとする。
俺はその仕草が気になり、窓に近づいて女の背中を目で追った。
女はゆっくりと、山の方に向かって歩いて行く。
「あっちには何も無い筈だが・・・」
女の進む先の方に視線を移すと、遠くの森の中に人影が見えていた。
五人、十人。十数人の人が立っている。
「皆、若い女だ。あんなところで何をしているんだろ。あそこには何もなくて、ただ危険なだけだよな」
荒地があるだけの場所だった。

ここで俺は何とも言えぬ「嫌な感覚」にとらわれた。
さっきの女はあの場所に戻ろうとしているのだ。
あの荒地の中には湿地があるが、そこはとても人が踏み込んではいけない所だ。
だが、さっきの女は、そしてあの女たちは、いつもあそこにいる。
「だって、あの人たちは殺されて、あそこに埋められてるんだものな」

ここで俺は合点が行った。
この別荘はすばらしいロケーションにあるのにも関わらず、極めて安い値段だった。
「どこか薄気味悪い」という理由で、客に敬遠されたのだ。
元の持ち主はこの近くの木で首を吊っていたから、その話を知っていれば薄気味悪く思うのも当然だ。
しかし、ここの悪縁はそれだけではなかった。
「前の持ち主の男は、ここに若い女を攫って来ては、あの湿地に埋めていたんだな」

前にもこういうことがあった。
彼女とドライブに行き、静かな山の中に車を停めた。
もちろん、2人でゆっくりと語らうためだ。
ところが、すぐ前に見える山の後ろがどうにも気になる。
ブツブツと人が呟くような声も聞こえる。
道の先に行って、様子を見ると、山際に窓ガラスに目張りをした車が停まっていた。

「あの時と一緒なだけではなく、どんどん酷くなっている」
妄想と現実が繋がってしまうことほど、気持ちが沈むことはない。
この先も同じことが起きるかと思うと、さらに気落ちする。

ここで覚醒。