日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

詐欺事件の顛末

◎詐欺事件の顛末

家人の知り合いが実際に遭遇した事件になってます。

女性2人で道を歩いていると、チラシを配っている男がいる。
「このチラシを持って○○○(店の名前)に行くと、どれでも好きなものを1つ貰えるよ。先着※名だけだから早く行って」
「タダなの?」
「そうだよ。早く行って」
チラシには店名が書いてありません。
「そりゃ、客が殺到しないようにだよ」

早速、2人はその店に向かったとのこと。
店の中には、客が沢山いた。
「あの~」
声を掛けようとすると、店員が話をさえぎる。
「今、前のお客さんで手が空かないので、少し待ってください」
しばらく待って、再び声を掛ける。
「あの~」
「順番がありますので、先に商品を見ていてください」
再び、放置される。

チラシに載っていたのと同じような品を見つける。
3万円くらいの品だ。これがタダなら悪くない。
「これが良いです」
「ちょっと待ってください。品物をお見せしますから」
店員が品物を出して、前に置く。
すると、他の客がそれを見ている。自分たちより先に来ていた客だ。
「私、それが欲しいわ。それを売ってください」
大きな声だ。
これに店員が返す。
「それはお売りできません。今、その人にお見せしていますから」
「今すぐお金を払うから、私に売ってよ」とさらに大声で言う。
「それは出来ないんです」と店員も声を張り上げる。
2人の声が大きいので、店中の客がこっちを見る。
「じゃあ、もう帰るわよ。ふん」
捨て台詞を残して、その客が店を出て行く。

ようやく店員が寄って来る。
「これが良いです。これにします」
すると、店員は「では7千ペソ頂きます」。
「え?タダでくれるんじゃないの?」
店員の表情が一変する。さっきまでにこやかだったのに、ガチガチに固くなります。
「客にタダで商品を配る店がありますか。私たちはビジネスでやっているのです」
女性はチラシを差し出す。
「でも、このチラシを持って行けば1つタダでくれると、道で言われましたよ」
「何言ってるんですか。そんなのウチでは配っていませんよ。大体、店の名前だって書いてないでしょ」
「ええ~」
 これからが本番。

 「くれるって言うから来たんです。タダじゃないなら要りません」
これで店員の血相が変わる。
「あんたね。この商品はさっきの客が買うと言っていたのに、あんたのために取り置いたんだよ。これを買うか、さもなくば営業妨害で警察に突き出すかどっちかだ!」
店員は実際に他の店員に電話を掛けさせる。
この辺でようやくその女性も事態に気づく。

もし自分が買わないと、警察が呼ばれる。そして、その警察官はここの店とグルだ。
そこで、女性はしぶしぶ「持ち合わせが少ないから、別の品でもいいか」と申し出る。
結局、財布の中にあった3千ペソで、別の指輪を買った。
話はここまで。場所はマニラになってます。

家人によると、最初から仕組まれた筋書きらしいです。
ひと呼吸置けば、「タダで宝飾品をくれる店は無い」と不審に思う筈ですが、「タダ」に目がくらんで話に乗ってしまう人もいる、とのこと。
欲は人の目を曇らす、と言いますが、まさにそれを地で行く詐欺です。
日本の感覚で言うと、「十万円くらいの品をタダでくれる」に近い内容です。

「1年で投資金が2倍になる」とか、日本でもこの手の詐欺はありますね。
もし1年で10%の利回りが確実だとなれば、金融機関がいくらでも貸してくれます。それを2倍にするから、個人に「投資しろ」というのは、筋書きそのものがウソ。そういうのは「騙された」とは言いません。
欲ボケによる「飛び込み自殺」ですね。