日刊早坂ノボル新聞

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◎本当に「不正」なのか 番外編

◎本当に「不正」なのか 番外編

 厚労省「毎勤」の不手際について
 これまでに報道された限りでは、「毎勤」の統計上の齟齬は、「従業員5百人以上事業所は悉皆調査なのに、東京都分が30%抽出になっている」、「変動を名目値ベースで示している」というものだ。
 統計を少しでもかじったことのある者であれば、ここでやること、やれることは明らか。

 1)年計でなく月例報告分については、各々の月について季節調整が不要。そうなると、東京都の値について、回収票が産業別、規模別の構成比が同じになるようにウエイトを乗じる。
 この場合、結果は実測値ではなく、推測した値(推測値または推定値)になる。
 もちろん、そのことは注釈に明記する必要がある。既にこれを怠っているのであれば、「不手際」は明白だ。

 2)収入や所得の時系列推移を観察したいのであれば、名目値、実質値の双方を出力するのが普通だ。簡便法であれば、消費者物価を乗じる手法をとる。少し丁寧にすれば、各都道府県について、消費者物価地域差指数×消費者物価指数を乗じたものを集計して、実質化する。
 ただし、既に推計値が混じっているので、数値そのものの精度は大したことは無い。

 とまあ、やれることが限られているので、データベース自体を更新しないのであれば、4、5日で出来ます。追検証を加えても、その2倍くらいなので、数字は既に計算出来ているように思われる。
 詳細でなく速報、すなわち全国事業所の平均賃金の名目、実質値はすぐにでも出せる。

 「記述統計」は、社会状態の座標を示すもので、それ以下でもそれ以上でもない。
 座標なだけに、正確に位置を知ることが重要。
 これは粛々と進めるべきで、そうしないと、「将来の展望」など開けない。
 カーナビと同じ理屈で、現在地が定まらないと、「どの道筋で行くか」など決められない。

 現時点で公表を控えているのは、主に政治的理由だと思われる。
 その理由は、修正はすぐに出来るし、既に出来ているからだ(後段はあくまで推測)。

 報告文(評価文言)を丁寧に書くとすると、さらに十日くらい検討期間を使うと思うが、この期間がひとつのものさしになる。
 もしズルズルと公表を遅らせるのなら、「各方面に諮っている」以外に理由は無く、それは政治的理由になる。
 「政治主導」なるものが、「国の行く末を確実にリードする方法」のか、「停滞させる方法」なのかは、この後はカレンダーを眺めていれば良い。
 ま、これに半月もかかるようなら、よっぽどの「ク※」だということ。

 政治は口先三寸で出来るかもしれないが、現状を口先で言い繕うと、道を誤る。
 これは与党も野党も変わりない。
 政治的な立ち位置とは無縁の話で、それが不正かどうかは関係ない。
 事実を速やかに明らかに出来なければ、日本国は没落していくだけだと思う。