日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第724夜 エアポート

◎夢の話 第724夜 エアポート
 1日の午前4時に観た夢です。

 先週、南の島から帰ったばかりだというのに、また行くことになった。
 俺はすぐさま旅客機に乗り、再び、彼の地にUターンした。
 空港からタクシーで街に向かう。
 リゾートの島だが、中心は大都会で、高いビルディングが立ち並んでいる。
 ほとんどがホテルだ。そして、そのホテルのすぐ前には、白いビーチが広がっている。

 1時間ほど仮眠を取ると、既に夕方だった。
 少し小腹が空いていたので、外に出ることにした。
 レストランやファストフードが沢山あるが、俺はこの地の食事が好きではない。
 ベーコンに生野菜をつけたような品目だけだし、それも単調な味付けだから、すぐに飽きる。
 「中華街はないのか」
 ま、裏通りに行けば、南洋めしが食えるかも知れん。
 路地を曲がって、裏通りに入る。
 表の側とは違い、裏は真っ暗だ。飯屋どころか、人が歩いていない。
 暗がりを歩いていたら、すっかり道に迷ってしまい、さらに裏に入り込んでしまった。
 どぶ川のような流れの脇の道を進むが、一向に広い通りにはぶつからない。

 俺は何気なく、川のほうに視線を向けた。
 「ありゃ、あれは」
 何やら大きなビニール袋に入ったものが浮かんでいる。
 表通りはあんなにきれいなのに、裏通りの川にはゴミが平気で捨ててあった。
 中身は見えないが、俺は直感が働くから、何となく分かる。
 「何だよ。獣の死体を捨ててあるじゃねえか」
 それも大型の鳥の死骸だ。
 目を凝らして見ると、そんな風なビニール袋があちこちに浮いていた。
 「外面は良いが、裏では汚いことをやっている。まるで俺の国と同じだな」
 でもま、ひとの死体が浮いていないだけよかったよな。

 だが、俺のそんな考えは間違いだった。
 川にひとの死体は浮いていなかったが、土手の方に転がっていたのだ。
 ひとつ、ふたつ。
 ホームレス風でもない服装の死骸がごろごろと転がっている。
 「こりゃ酷い。ここは何て国なんだろ」
 幾度かこの地に来たが、少しも好きになれないのはこのせいか。
 すっかり興が醒め、俺は直ちに帰ることにした。
 何か用事があった筈だが、どうせ思い出せない。
 
 空港に戻り、出国管理官の前に立った。
 胸ポケットを探ったが、パスポートが見付からない。
 「イケネ。どこかに置き忘れて来た」
 パスポートが無いんじゃ、帰れないじゃないか。
 管理官が俺に目配せをする。
 「お前。どうかしたのか?」
 こういうところの役人って、どうしてこんなに横柄な口調なんだろ。
 U和の入管に幾度か行ったが、ひとり横柄な女がいて、申請者相手に怒鳴っていたっけな。
 仕方ないから、俺はそのまま伝えた。
 「いや、あると思ってたパスポートが無くなっているんですよ」
 すると、管理官は「くす」と笑った。
「パスポート。そんなもの、この国では要らないよ。早く左手を出して」
 言われるまま左手を出すと、管理官はコンビニやスーパーで使うバーコードチェッカーを取り出して、俺の左手の親指と人差指の間に当てた。
 「チリッ」と音がする。
 「はい。オーケイ。通っていいよ」
 なるほど。俺の左手にはチップが埋め込んであって、ここに個人情報が全部入っているわけだな。
 そのことに気付くと、俺は少しずつ記憶を取り戻した。
 どうやら催眠術か何かで、チェッカーを通過すると、記憶が戻る仕組みになっているらしい。俺はこの街に明確な目的を持って来たのだった。
 「あ。忘れ物をしました。中には入らず、もう一度、街に戻ります」
 管理官にそう告げて、俺は窓口を離れた。

 空港の出口に向かおうとすると、壁の上の大きなモニターが映像を流していた。
 ちょうどニュースに時間らしく、時事問題を報じている。
 「明日は政府要人とITビジネスのロバート・ゲイター氏との会談が行われる予定です」
 そのホテルは、俺が部屋を押さえていたのと同じホテルだった。
 俺はここで詳細な記憶を鮮明に思い出した。
 「今は支配層が一般人を支配する腐った世界に成り果てている。見てくれはきれいだが、総てが嘘っぱちだ。俺はこの世界を吹っ飛ばすためにここに来たのだ」
 俺の体には、ICチップだけでなく、超小型核爆弾も埋まっている。
 自爆攻撃をするつもりはさらさらなく、ここぞと言う時に取り出して、自分は逃げるつもりだが、半径十キロ圏内は一切蒸発してしまう。
 「ま、ちと厳しいかな」
 それでも、家畜のように生きるよりは、人間らしく死んだほうがましだろう。
 「20万人は道連れにするだろうけどなあ」
 皆、天国に行ってくれよ。
 ここで覚醒。

 数年間、「眠る度に悪夢」だったのですが、ようやく解放されつつあります。
 夢が人事に変わって来ました。
 もちろん、夢ではなく、現実の方に移っただけかもしれません。