日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第733夜 霧

◎夢の話 第733夜 霧
 十日の午後1時に観た短い夢です。つい先ほど。

 眠気を感じることなく、もはや眠りに落ちていた。
 座って十分も経たぬうちの話だ。

 我に返り、瞼を開くと、俺は地面の上に仰向けになって寝ていた。
 周囲は暗く、真夜中のよう。

 土の匂いがする。
 湿っており、黴臭いというか、苔臭いというか、そんな匂いだ。
 「これは・・・」
 すぐに気付く。
 「墓土の匂いだな。俺は墓場で寝ているのだ」

 体を起こそうとするが、手足の感覚が無い。
 まるでまったく血が通っていないかのような重さだ。

 仕方なく、そのまま周囲の状況を眺める。
 真っ暗だと思ったのだが、回りにはどうやら霧が出ているようだ。
 俺は霧の中で、墓土の上に寝ている。

 「おいおい。もしかして、俺は眠っている間に死んだのではないだろうか」
 この霧は、俺が「幽界の霧」と呼ぶものではないのか。

 「もし、眠っている間に死んでいたら、自分の死を意識することなく死んでいるということだ。この場合、どうやって自我を解放すれば良いのだろう」
 何せ生まれてこの方、自意識を失くしたことがない。
 「なあるほど。僧侶には※日行とか言って、生命力を落としに落とす荒行があるが、あれは自意識の持つ統制力を弱める意味があったのか」
 俺はこれまで「霊界が何たるかを知らぬ者の振る舞いだから、本当に馬鹿らしい」と思っていた。
 あの世を体感するためにやっているわけだ。

 「俺はもう体感出来ているんだから、こういうのは必要ない」
 手足に集中し、動かそうとする。
 すると、数分で血が巡るようになり、目が覚めた。

 目が覚めて、思わず声に出して言った。
 「確かに、眠っている間に死んでいたのなら、そこからどうすればよいかが分からないよな」
 死に間際は、多少、苦しい面があった方が覚悟が決まるのかもしれん。