日刊早坂ノボル新聞

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◎腹を抱えて笑った話 (「老後の生活に3千万必要」)

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◎腹を抱えて笑った話 (「老後の生活に3千万必要」)
 最近になく大笑いしたのが、財務省が報告をもみ消した「老後に必要な生活資金」の件だ。
 あくまで試算なのだが、「65歳時から30年生きるとして、2千万(もしくは3千万)の生活資金が必要ということだ。

 ま、1)高齢者がお金を溜め込んでおり、2)それが家庭に眠ってしまっているから、3)投資に回させよう、という腹だったらしいが、あくまで試算の話だ。
 「今の人口減少率が※年続けば、※年後に日本人はいなくなってしまう」という類の話と同じになる。

 ああアホらしい。
 「どれくらい金がかかる」以前に、「65歳時から30年生きたとして」という仮定が怪しいとは、誰も思わんのか。

 かなり前の試算になるが、十年ちょっと前に「生残率」を算出したことがある。
 「生残率」とは、「ある年の各歳別の死亡率」を基に、「日本人(総合カテゴリーだ)」が、「各年齢で死亡率の通りに死んでいく」と仮定した場合、ゼロ歳時を1.00とした時に「どのくらい生き残っているか」を算出したものだ。
 使用するデータは、「平均余命」とまったく同じなのだが、「平均余命」の場合は、年齢をストックとして眺め、平均値を算出するのに対し、「生残率」はあくまでフローとして眺めるという違いがある。
 いずれにせよ、「平均余命」「生残率」共に、「今※歳の人がどれくらい生きられるか」、「どれくらい生き残っているか」という直接的な答えになるものではない。
 本来、ある年の特定の年齢層の死亡率と「同じように下の年齢層が死んでいく」とは言えないからだ。

 しかし、そんな厳密なことを言っていたら、何ひとつ言えなくなってしまう。
 キャッチャーミットに向けて正確に投げ込めなくとも、とりあえずホームベース付近に投げればよいし、キャッチャーの方が動いてくれることもある(比喩だ)。
 ここでは、とりあえず、「日本人」が「同じように死ぬ」としておく。

 これによると、男性の65歳時の生残率は、85.2%となっている。大雑把に「大体、同級生の15%くらいが65歳までに亡くなってしまう」としておく。 
 これが90歳時になると、12.1%まで下がってしまう。
 90歳を超えると(以上と書いてあるが「超」の誤記だ)、生残率はゼロになってしまう。
 何人かはいるのだが、パーセンテージ上は「ゼロ」、すなわち「ほとんどいない」ということだ。
 65歳から90歳の25年間だけ見ても、85.2%-12.1%で、73.1%は亡くなってしまう。

 実際にはこの通りにはならず、出生年コーホート(=同時出生集団)別に、実際の生残率を計算する必要があるし、これは調べてみるべきだと思う。
 とりわけ、「団塊の世代」は各歳において生残率を引き上げてきたきらいがあるので、団塊以後の年齢層では、傾向が変わる可能性がある。
 今のまま、寿命が延びていくとは限らない。

 ま、「老後の生活資金として2千万、3千万が必要」な人は、ほとんどいない。
 これが現実だ。
 色々心配する向きもあるが、そういう人には、「オメー。いつまで生きるつもりなんだよ」という言葉を送ることにする。
 今年91歳の父の同級生は、もはや1人か2人で、これが現実だ。、 
 
 「平均余命」も「生残率」も、あくまで仮定であり仮想空間の話だ。
 「自分が何歳頃まで生きるのか」「生きられるのか」については、親や兄弟、血縁の「死に方」を見た方がよっぽど正確だと思う。

 そもそも、日本人が老後のためにせっせと貯金をするようになったら、景気は悪化の一途を辿る。
 喜ぶのは、お金を貯めた高齢者を狙う「振り込め詐欺」の悪人だけだ。

 追記)とはいえ、女性は男性とは少し事情(傾向)が違いますよ。
 女性の場合、ソコソコの「心構え」が必要かもしれません。

 追記2)「0歳未満」と「90歳超」は極限値なので、両方ともほとんど意味の無いカテゴリーになります。