日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎平均余命と生残率 「65歳から30年後なんてナンセンス」

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

◎平均余命と生残率 「65歳から30年後なんてナンセンス」
 「65歳から30年間の生活」について、さらに考えてみた。
 まずは「どれくらい生きられるのか」ということから。

1.平均余命
 「平均余命」の算出に係わる基本的な考え方は次の通り。
 1)「ある1年間の死亡率」が基礎データで、この死亡傾向が前提となる。
 2)年齢別に、各年1年間の死亡率を、次の年に乗じて行く。
 3)総ての年齢の人口がゼロになるまで続けると、年齢×生存者の「生命ストック」(単位は「年人」)を算出できる。
 4)その値を、総人口ストックで割ると、一人当たりの平均の生命ストック(人生の長さ)が算出できる。

2.生残率
 「平均余命」の算出で使用したのとまったく同じ「各歳人口の1年間の死亡率」を基礎データとして、死亡率に重点を置くのが「生残率」である。
 大雑把に言えば、次の通り。
 1)ある年の1年間の各歳別死亡率と「同じように死ぬ」と見なすことが前提。
 2)出生時の人口を1とした場合、各年毎の死亡率を減じていけば、ある年齢で生き残っている可能性を算出できる。
 要するに「減少部分」を漸次カットして行くというやり方である。

3.見え方は全然違う
 日本人の「出生時平均余命(平均寿命)」は、男性81歳、女性87歳(H29)。何となく、「生まれたひと皆がその辺まで生きる」みたいな気持ちになる。
 同じデータを使って、生残率を算出してみると、80歳時点では、男性53%、女性76%となる(H15)。
 しかし、それは90歳時点で男性12%、女性38%まで下落する。
 「ある年の死亡傾向と同じ」と仮定するなら、65歳から先は「20年くらいがいいとこ」が目安ということ。

 ここで重要なのは 「※※時余命」とは「ひとがある時点からどのくらい生きられるか」という意味ではなく、「その年の年齢別の死亡率」しか説明していないことである。

 これらのやり方の欠点は、年頭の総人口の値として、「その時点で生きている者」で始められていることで、その年齢までに死んでいる者は勘定に入らない。
 「その時点で生きている者が、ある年の死亡率の通りに死ぬ」という仮定を含むから、必然的に長く見える結果となる。
 現実には、男性も女性も、そこまで生きられる人は、半分をかなり下回るのではないか。

 もし、「どのくらい生きられるか」という答えに近づくなら、各歳人口について「出生時からそれまでの死亡率」を視野に入れる必要がある。
 「ある年の各歳別死亡率」ではなく、「その年齢に至るまで、どのくらい死んだか」という視点である。
 もちろん、これを調べるのには、かなりの労力を要する。

 注記)単純に考え方を示しただけなので、データは過去のものを使用している。