日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎ポジティヴが一番

◎ポジティヴが一番
 病棟の看護師のSさんが、このところ姿を見せないと思ったら、「関西の叔母のところに行っていました」とのこと。
 Sさんは女性で、50台。私と同じくらいらしい。

 その叔母さんは、「自分が元気で顔を見せられるのは、今が最後だから、今のうちに遊びに来て」と親族を呼び集めたそうです。
 現状では、血尿が酷く、導尿カテーテルが入れっぱなしの状態とのこと。
 口には出しませんが、膀胱がんとか腎臓がんの末期でしょうね。
 自身の最期を悟り、親族に会っておこうと考えたわけです。

 そこで、Sさんは「苦しくないの?」と訊いてみた。
 すると叔母さんはこう答えたのです。

 「なあに平気よ。今は立っておしっこが出来るから、便利でいいやね」

 この話を聞いて、思わず手を打ってしまいました。
 「これだ。このポジティヴさが大切だ」
 
 私の母も亡くなる当日まで、「苦しくないか?」と訊くと、「大丈夫。大したことは無いさ」と答えていました。
 どういう境遇になっても、「前を向く」というのは大切なことです。

 私はそれと真逆な性質で、常日頃、「ダメだ。もう俺はおしまいだ」と漏らす一方、諦めずに粘るタイプです。そのことで、周囲は本当なんだか、法螺何だか分からないらしい。
 「なかなか死なない」ってことですが、当たり前です。最低のところまで立ち返って、そこから前に出ようとしているだけです。

 でも、「立ちションが出来るから便利で良い」の精神は見事です。
 今後は、私の生活態度にも、そういうのを加えることにしました。
 
 「いやあ。透析をすると、シャブをやった以上にスッキリする。週3回もスッキリできて最高だね」
 嘘なのですが、他の人は分かりません。
 他人を煙に巻くのは嫌いではないので、この路線で行きます。 
 明るく朗らかに法螺を吹くのは、別に構わんだろうと思います。
 大切なのは、「前向きに考える」ということです。