日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

今までの人生で一番怖かった体験 その2

「怖かった体験」ということでは、事故・災難と並ぶのが、やはり霊体験です。

「押入れ」(40代女性:当時)

娘が東京の大学に進学することになったAさんは、2人でマンションを探しに行きました。
場所はN区で、S線沿線のO駅の近くになります。
夫が病気で長期療養中だったこともあり、駅前の不動産屋で、「あまり高くない部屋を」とお願いしました。
50代と思しき不動産屋は、少し考えた後、「ああ、良い部屋がありますよ。安くてきれいで・・・」と答えました。
不動産屋に連れられ、そのマンションの6階に行って見ると、予想に反し3DKの小奇麗な部屋でした。
「ここが4万5千円なんて信じられない!」
娘は驚き、ここに入るものと決めてかかっています。
(いくらN区でも、安すぎるんじゃないの。)
Aさんは台所を点検した後、娘と奥の部屋に行きました。
他の部屋もきれいですが、この部屋はさらに内装を直してありました。
「いい部屋でしょ。壁紙も全部張り替えたんですよ。すぐに契約しないと別の人に取られちゃいますよ」
不動産屋の言葉を聞きながら、改めて見回すと、押入れのところで何となく眼が止まりました。

「押入れも広くて十分使えそうじゃない」
そう言って娘が近づいて押入れを開けようとするので、Aさんは慌てて止めました。
「やめなさい!」
どこか胸騒ぎがしたのです。
「何か嫌な感じがするのよね。ここ」
振り返って見ると、不動産屋が渋い表情をしています。

結局、Aさん親子は契約するのをやめました。
その後はありきたりな怪談話。
2年くらい前に、その部屋では殺人事件が起きています。犯人は妻を殺し、押入れに隠して逃げた。
あのAさんが気になった押入れでした。

Aさんというのは実は私の叔母です。
N区のそのマンションは私の事務所の近くでした。その話を聞いた数日後、私は仕事の帰り道に寄って見ることにしました。
もちろん、中に入るつもりはなく、「どんなところに建っているのか」を確かめるだけのつもりです。
N区には、N陸橋(当時)の裏手とか、S公園といった、霊の通り道が何箇所かあります。

8階建てのマンションが見え始めてから程なく、道の脇に誰かが立っているのが見えました。
近づくと、お婆さんがガードレールに摑まって、道の方に体を傾けています。
(夜の11時過ぎだよ。何をしているんだろ。)
あと15辰らいまで近づいた時に、そのお婆さんが車道に飛び出すつもりであることに気がつき、慌てて反対車線に飛び出すくらい大回りをして難を避けました。
飛び込み自殺の相手をさせられたのでは、たまったものではありません。
やり過ごしてから数秒後、バックミラーを覗いてみると、後ろの道には誰もいませんでした。

道にいたお婆さんは叔母の話とは関係がなさそうですが、そこがあまり良い場所で無いことだけは確かです。
話の流れが悪く、訥々とした内容ですが、それはこれが実際にあった話だからということです。
後々、叔母と「もしあそこに住んでいたらどうなったか」という話になったことがありますが、答えは「娘(すなわち私の従妹)が1人で住む分には何も影響はないだろう」という結論になっています。
ただし、もちろん叔母はそこに住んではダメ。
この手のことは、必ず人を選んで起きるので、感知しない人には全く関係がありませんが、してしまう人にはエライことが起こります。