◎何故にキロ700円?
先日、畑の横の産直販売で栗を買ったが、これがなかなか美味しかった。
そこで、また同じ畑まで買いに行った。
またあれこれ並んでおり、前回と同じ小袋(2百円)が置いてあった。
十個前後で2百円だから、高くも安くもない。
ところがその隣に少し大きめの袋が置かれている。
2百円の小袋の2倍ちょっとくらい。ほぼ1キロだろう。
値札を見ると、「7百円」と付いている。
「あれあれ。少し高くねーか」
2百円×2なら4百円だし、2.5でも5百円だ。
何故に7百円?
少し考えさせられたが、結論は「この栗が普通よりもずっと美味しいことに、売り手(農家)が気付いた」ということではないか。好奇心には勝てず、すぐに一袋を買った。
この辺、慎重なら「明日まで待つ」ところ。
大袋でも「店では5百円」だから割高で、たぶん、すぐには売れない。
産直販売は「一日勝負」だから、明日まで残っていれば値が下がる。
別のが同じ値段で出ていれば、「間違いなく美味しい」と言う意味だ。
この辺、せっかちな者はお金を多く払うことになる。
でも、小さい金だし、好奇心には勝てない。
栗は懐かしい食べ物だ。
小学生の頃は、山栗を拾って来て、商店だった自分ちに売り、それをお小遣いにした。
山栗は小さくて、見栄えがしないのだが、もの凄く甘い。
それを知る数少ない人は、店頭に山栗が出れば、すぐにそれを買う。
そこで、父は子どもたちが売りに来ても、きちんと対応していた。
近所に住む同級生のケンゾーは、山歩きが得意だったから、栗も飼料袋一杯持って来ていた。2千円くらいにはなっただろうから、田舎の子にとっては、良い小遣い稼ぎだ。
そのケンゾーは紆余曲折の果てに、若くして死んだ。
あいつの話も書くべきだと思うが、当方も依然として紆余曲折の真っ最中だ。
なかなかケンゾーまで行きつけぬが、栗を見る度にケンゾーのことを思い出す。
画像はその栗で、実際に調べたらやはり1キロだった。キロ7百円ではやはりやや高い。
体重計で重量を測ったが、その秤の裏に古銭が貼り付いていた。手に取ると、どうやら水戸銭の輪を改造したもののよう。この手のでよくあるのが、「覆輪外れ」「覆輪失敗作」だ。外れたり失敗していては、取り柄にならない。せいぜい「細縁」とトボけるくらいだろう。ま、細縁であれば形状だし、見えた通り。
散々処分したが、いまだに家のあちこちから古銭がぞろぞろ出て来る。
追記)先ほど茹でて食べてみた。なるほど抜群に美味しい。
これならキロ7百円でも全然安い。農家が見たのは「質」「味の良さ」であり、「足元」ではなかったようだ。