◎今日の『こけし』ウォッチング (3/20)
『こけし』は女子プロレスラーの伊藤麻希選手の繰り出す技(頭突き)だ。
伊藤麻希は元アイドルグループのメンバーで、女子プロレスに横入りした娘のことだ。
この業界でも、やはりアマレスや柔道のトップから入ったり、子どもの頃からレスラーを目指し、それひと筋で来たりする者が「主流選手」になっている。
例えばAEWで活躍するリホ選手は、まだ23歳なのに、キャリア13年。小学生からプロレスをやっている。
他も似たような者ばかり。
そういう者から見ると、伊藤麻希は「我慢のならないタイプ」だ。「ポッと出のポンコツ」ということ。
実際、三年くらい前の試合を観ると、やっぱりポンコツだし、相手も「コイツだけには」という気持ちでやって来る。(あえて「コイツ」と呼ばせて貰う。)
試合中でもイビられる。
かたや、コイツの良いところは、堂々としているところだ。
入場時に「歌を歌う」など、ふた昔前のクラッシュギャルズ並みの恥ずかしさだが、臆さずにやっている。
先日は、米国AEWで5万人の視聴者がいる試合に出たが、入場時に曲が流されたのに乱闘が始まり、音を止められてしまった。
だが、コイツは委細構わず、ワンコーラスを歌い切った。
思わず、「おお。良いとこあるじゃん」と呟いた。
恥ずかしいことをやるには、塵ほども怯んだらダメだ。三倍前に出なくては、見る側が一層困る。
技的にも取り柄が少しあり、ボストンクラブは4通りくらいの入り方、極め方を持っている。
まだ、組み立てが下手でポンコツのままだが(笑)、懲りずに我が道を行ってくれればよいと思う。
新日みたいなパチパチばかりだと、長くは観ていられない。
時々、巡業スタイルの息の抜ける試合が必要だ。
ちなみに、これは内輪のSNSに記したものだったが、別報が出たので、ブログに移すことにした。
◎伊藤麻希が議論の的に (3/27)
米国ユーチューブに、伊藤麻希に関する考察ビデオが出ていた。
"The average AEW viewer is 47 years old. Will Maki Itoh get over?: Wrestling Observer Live"
「AEWの視聴者は平均47歳だ。伊藤麻希は乗り越えられるのか?」
スゴイ。「伊藤麻希」が「ある種のシンボル」「アイコン」になっている。
ここは、視聴者の平均年齢層が47歳なのに、アニメのコスチュームのような服を着たギミックレスラーがやって行けるのか?という話だ。
この議論が予想以上に盛り上がっていて、公開直後の二日間で1千件以上のコメントがついていた。
プロレス番組の視聴者は5万人だったが、この議論動画の視聴者は2万8千になっている。レスリングの放送が3回くらいだから割とコメが多いほう。
何となく大半に目を通してしまった(苦笑)。
最初は否定的なコメばかりが並んだ。理由はこれだ。
1)「元アイドル」
2)「アニメのキャラみたい」
3)「入場時に歌を歌う」
4)「レスリングが出来ない(キャリアが浅い)」
5)「筋力が薄く弱々しい」
6)「無駄に吠える」
みたいな理由だ。
こういう拒否反応はよく分かる。私も当初はそう思った。
入場時に「歌」が始まると「思わず動画(またはチャンネル)を変えたくなる」。
とりわけ、格闘技系が好きな者には「耐えられない」オープニングだろう。
私は巡業プロレスも嫌いではないが、歌を聴かされるのは「うーん」だ。
だが、コメには30~40歳台の視聴者には、「こういうキャラ売りもアリ」だという者が出て来る。
こういうのは「これとして楽しめばよい」という意見だ。
どうでもよいと思うが、これを真剣に議論するのが、プロレスファンだ。
AEWはWWEのような「ドラマ重視の組み立て」が嫌いなファンが多いから、抵抗も大きいわけだが、やっぱり「プロレスはパチパチ戦うだけのものではない」と思う者もいるわけだ。
こういうアンチを打ち負かすためには、伊藤麻希は、早急に5)もっと筋力をつける必要がある。
東京女子はどちらかと言うと、非力なレスラーが多めで、全般的に技が軽く見える。
これは、たぶん、米国視聴者の大方の見立てだ。
あと、4)に関連し、少し大型の選手のいる団体と交流し、力と技を磨く必要がある。時々、「段取りが悪い」のが丸見えだ。
6)「吠える」のも、典型的な「弱いレスラー」の仕草だ。これは直ちに止めること。
あとは考え方ひとつ。
ま、数年が経ち、伊藤が三十歳を超えれば、もはやアイドルではいられない。
しかし、賛否がきっちり出て「アンチがいる」のは、伊藤選手が「何かがある」「何かを持っている」という証拠だ。
精進次第では、まだ先がある。
とりあえず、筋力の無さが目立ち、チョップやキックに説得力が無いのを改善する必要がある。
かたちだけの打撃でやり合いをしても、視聴者には響かない。
毎日欠かさずスクワットと腕立て伏せを1千回ずつやるのを日課にすることから。
出来ないのだが、まずはそれが目標だ。
とはいえ、まだ批判されているだけまし。
ほとんどの選手は米国メジャー団体には一度も呼んで貰えない。
チャンスが貰えるうちに勝負を賭けることだ。
伊藤麻希は今もポンコツだが、「いずれ良くなる可能性がある」と思う。
「良きライバルであり仲間」の山下実優と戦ったり、隣に立ったりしていることが有利に働いている。
山下実優選手は、米国でも「知る人ぞ知る」の「最も将来性を感じさせるレスラー」だ。
この子もまだこれからだが、程なく「日本の女子プロレス界の至宝」になる。
伊藤麻希はとにかくこの山下と絡み、山下と一緒に「高みに上って行く」ことだ。
山下選手とは違い、伊藤選手の行き着く先は、リック・フレアーのスタイルだろう。
リック・フレアーは「のらりくらい」戦術で相手の攻撃を受け、あるいは交わしつつ、最後はきっちり「四の字固め」で極める。女子レスラーの最高峰はリックの娘のシャーロットだが、シャーロットにはなかなかなれない。
それなら、とにかくリック・フレアーのビデオをよく観て、組み立てを倣うべきだ。
リック・フレアーは体が小さいし、ダーティなヒールだったが、観客を魅せる術を心得ていた。
気が付いたら、こんなポンコツ・オヤジジイでも『こけし党』、”Itoh Respect Army”の一員になっていた。
まったく、鼻歌まで「ブルックリン・ザ・ホール」になっている始末だ。