◎他地域では食べない・食べられない料理(2)
地元民で無ければなかなかお目に掛れない食べ物の続き。
◆20台女性(新潟)
「白ちまきですね。ちまきなのですが中には何も入っていません。米だけです」
米を笹の葉で撒いて蒸したものらしい。
「味は何もないの?」
「食べる時に黄粉を付けたりします」
確かに、中が「米だけ」というのは食べたことが無いぞ。
◆五十台女性(長崎島原)
当方が「長崎は全国区の食べ物が多いから、ちゃんぽん、皿うどん、カステラみたいな品ではないもので宜しく」と尋ねると、少し考える。
「わらすぽは珍しいけれど、有明の周囲では食べるわね」
ああ、あのエイリアンみたいな魚だ。ただ、自分の育った地域のものではないらしい。
「マテ貝の佃煮。塩を振ると長い首を出すから、それを掴んでゆっくり引き上げる」
採るところからが料理なのか。目の前が海で、食材をそこから得る。天国のような生活だ。
「中年以降になると、そういう暮らしの良さが分かるけれど、若いうちは田舎暮らしが嫌なんだよな」
すると、女性(Sさん)はこんな思い出話をした。
高校生の時に、駅から家まで男子と一緒に帰ったことがある。
ところが、駅を出た直後に、すれ違う人が皆自分たちを見ていた。
その中に近所の人もいたが、自分の家に「お宅のCちゃんが男の子と歩いていた」と告げ口をする人がいた。
家に着くと、玄関の前に父親が立っていて、「その男はどこのどいつだ」と叱られた、とのこと。
思わず突っ込む。
「それって、駅から家まで歩いて帰る間に、近所の人が見ていて、Sさんより先にお父さんに報せたってこと?」
「そう。びっくりでしょ」
確かにそれじゃあ、堪らない。
で、冒頭のお題の続き。
「ザボンの砂糖漬け。皮を剥いて甘く煮付けたもの」
食べるのはもちろん、皮の方。
鎖国時代にも、長崎は対外貿易を継続していたから、砂糖が割と入って来ていたらしい。それで、甘味の食べ物が沢山ある、とのこと。
「漬け」というより「砂糖菓子」のようだ。
こりゃ、全国の品々をリストアップして、実際に食べに行く必要がありそうだ。材料から創っているところまでを取材したら楽しい。