日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎患者に休みなし (02)

患者に休みなし (02

 祝日で病院自体は休みなのだが、私の病棟は開いている。

 腎臓患者と急患しか来ないから、病院の照明が落ちていた。

 だがよく見ると、診療科の入り口の窓口には女子事務員が座っていた。救急患者に対応するためのよう。

 

 このところ看護師のO君の表情が明るいが、誕生日がすぐ近くで、その日は彼女とデートする約束なのだという。

 「そいつは良かったね」と答えた。

 しばらく前、O君に「女影が差している」のが見えたので、「誰か女性と会ったか」「会うつもりか」と訊いたのだが、それをきっかけにO君は昔の彼女に連絡をしたらしい。

 O君は三十台半ばだから、相手に彼氏がいても不思議ではなかったが、未婚で彼氏もいなかったらしい。

 こういう巡り合わせはあまりない。大体は結婚していたりする。で、それからまた暫くの期間、悶々と暮らしたりする。

 だが、かつての彼女は今はフリーの状態だ。

 O君にとっては「忘れがたいひと」だったようだから、ある意味ではツイている。

 それから交際が復活し、定期的に彼女と会っているようだ。

 私的には、O君がしくじらなければ、無難にいずれ結婚すると思う。

 だが、良いことばかりではなく、トラブルも幾つか発生する筈だ。

 ま、人間関係以前に、O君は事故や事件に遭いやすいから、まずはそちらの処理を心掛ける必要がある。

 私と同類で、災難が降って来るタイプの者は、幽霊が寄り憑きやすい。

 一度、病棟でO君が背中に老女を背負っているのを目視したので、簡単な除霊の仕方を教えたり、お守りを持たせたりした。だが、時折、顔が変わっており、別人のように見えることがある。頻繁に「乗られる」し、影響を受けやすいから、周囲がそれに反応する。具体的には「不快に思う」から、上司たちがつい怒鳴りたくなる。

 いつも「駅のホームでは一番前に立つな」「交差点でも努めて後ろにいろ」と伝えているが、O君が忘れずにいてくれるかどうか。

 

 結婚した後で、幾らか夫婦でトラブルを抱えるかもしれんが、その辺からは当人の問題だ。

 もちろん、程なくその彼女と結婚するだろうことや、色々と災難が来るだろうことなどは当人には言わない。あやふやな将来の話だし、私は占い師でもカウンセラーでもないからだ。そもそも運命みたいなものは固定されたものではなく、必ず本人に選択権が与えられている。

 私がO君に対し「気を付けろ」と言葉にするのは、目の前で肩に老婆を背負っている様子を見た時だけだ。

 いずれにせよ、O君は半年前には上司に怒鳴られ通しだったのが、今では普通に働き、当番のリーダーもこなすようになっている。

 自分の生き方を主体的に決められるようになったことは、かなりの進歩だと思う。

 そのまま進むことを願う。ひとが自由に使える時間は、若者が思うより長くないよ。

 

 帰路には八幡さまに参拝した。

 スマホしか持参していなかったので、写真は鮮明に写らなかった。遠目で見ると、三四か所に気配が出ている。

 ま、境内には十数人の人がいたのに、ガラス窓には参拝客が映っていなかった。私も下半身だけ。

 追記)私の姿が消えたのは、前に「女」がいたからのようだ。徐々に姿が浮いて出て来た。