日刊早坂ノボル新聞

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◎夢の話 第1K94夜 「これ買って」

夢の話 第1K94夜 「これ買って」

 二十七日の午前四時に観た夢です。

 

 ベンチに座っていると、断りなく隣に女性が座った。一瞥してはアフリカ系の米国人であることが分かる。

 ちなみに、こういう場合。どう表現すればよいのか。

 確か「黒人」は差別用語だから使ってはならない筈だ。なら、アフリカ系とは限らぬ肌の暗い人のことを何と呼ぶのか?

 こういうのは行き過ぎると本当に不自由する。

 数年前からMLBの「インディアンズ」が、「インディアンがかつての先住民差別を想起させる」として「ガーディアンズ」に名称を変更したが、こういうのは必要ないと思う。

 スペイン人やポルトガル人南米に勝手に入って行き、「こいつらは未開人」だと宣言して、殺しまくり金を略奪した。

 この時の認識が「インディアン」なのだから、歴史を葬り去らぬようにすべきだ。名称を隠したりするのは隠ぺいにしか過ぎぬと思う。当方が先住民なら、そのまま使って歴史の記録を残す。

 「俺はインディアンと呼ばれた者の子孫だが、それが何か?」

 スペイン人やポルトガル人は南米で、英国人はインドで、フランス人はアフリカで現地の人を殺しまくった。

 殺していた側の末裔が「差別廃止」を訴えて、歴史を葬り去ろうとする。

 ま、アジアにも実際は加害者側なのに被害者コスプレをして、かつての身内を糾弾し、かつそれで利益を得ようとする者もいる。顔の整形が得意だが、歴史も自由自在に整形する。

 ああ虫唾が走る。

 その国では日本軍は一発の大砲も撃ったことがないのに、何が植民地支配だよ。

 

 ところで、なぜ隣に座った女性が「米国人」だと分かったかと言うと、それが顔と名前の知れた人だったからだ。

 「あれあれ、あなたはホイットニー・ヒューストンさんじゃないのか」

 すると女性が首を振る。

 「No. Whitney Houstonです」

 「です」って言ってら。これは夢だな。

 マリリン・モンローの霊を下ろしたイタコが津軽弁で語り出すのを聞く気分だわ。

 「面倒臭いな。じゃあベスと呼ばせて貰うよ」

 ホイットニーさんは、Whitney Elizabeth Houstonという名で、身内からは「beth」と呼ばれていた。

 

 「じゃあ、さしづめ、俺の名はケビンとかコスナーとか言うんだろうな」

 なんだか身長が190㌢近くに伸びた気がする。

 で、その女が言った。

 「あなたは学生さん?」

 「な、訳が無いよね。俺のことを忘れたのか」

 ま、こういうのは勧誘の定型句だ。

 

 女は俺の質問には答えず、構わず話を先に進める。この辺も流れ作業だ。

 「良いビデオがあるのよ。買わない?」

 女はそう言うと、バッグからビデオテープを出した。

 鞄の中がちらと見えたが、あと十本はテープが入っていた。

 女が取り出したのは、旧式のビデオテープだ。

 「おいおい。こいつはVHSじゃねーかよ。今時、このデッキを持ってるヤツがどこにいる」

 「え。持ってないの?」

 「リサイクルにならあるかもしれんが、再生できないものを買ったところで仕方があんめい」

 「でも、これ裏ビデオだよ」

 「なあにい?あんたが出てるのか?」

 「うん」

 ま、ここまではよくある話だ。

 ピンサロだって、通りで客を引く女性はすごくイケてる美人だが、中に入ると席に来るのはバーサンだ。

 「念のために訊くが、『家の裏で撮ったビデオ』みたいな話じゃないだろうな」

 「ステージの裏で撮ったビデオだよ。音を合わせてるとこ」

 「やっぱり。裏ビデオてのはそういう意味じゃねーよ」

 だが、ステージ裏の音合わせで歌っている姿なら、それはそれで価値がありそうだ、とも浮かんだ。

 

 「でもやはり買いづらいよな。これを売るためには、駅の前であんたが実際に歌って見せればいいよ。あっという間に人が何千人か集まるから、そこで売ればすぐに売れる。一本五万でもサインをすれば大丈夫」

 本物だから詐欺でもない。

 この人は声量がもの凄いから、きっとマイクは要らんよな。

 ここでパッと閃いた。

 「ついでに俺が隣に立ってれば、爆発的に売れる」

 誰一人二人が本物だとは思わんだろうが、歌自体は筋金入りだし、買う奴は必ずいる。

 ここで俺は我に返った。

 

 「ところで、死んでからもうだいぶ経つのに、あんたは何でビデオなんか売ってるの?」

 すると、女は自嘲気味に笑った。

 「こっちにも色々あるのよ。生きてる時と同じには行かない」

 ここで覚醒。

 

 別の結末があったが、珍しく詳細を忘れてしまった。

 前の晩に、「M日新聞」のアンケートが着たり、詐欺電話が掛かって来たりしたから、「勧誘」の夢を観たらしい。

 電話アンケートは一度番号の抽選に当たると、繰り返し掛かって来る。これに真面目に答えたりすると、それでリストに載ったりするから絶対に答えないが、それでも二週間は続く。

 詐欺電話の方は、騙すターゲットは家人のようで、外人口調で家人が「いますか」と訊く。

 答えは「あ。そう言う人はここにはいませんね」。

 家人によると、「当選しました。携帯電話を送ります」という送り付け詐欺らしい。

 「だから名前と住所を教えて」。

 懸賞で当選したというのに、当選した者の名前を知らない。

 家人が出た時には、「何も応募していないので要りません」と答えている。