日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第1128夜 ピノキオ

◎夢の話 第1128夜 ピノキオ

 四月二十日の午前四時に観た変な夢です。

 

 僕には三つの悩みがあった。

 そのひとつ目は名前のことだ。

 僕の名は竹中半兵衛と言う。まるで侍のような名前だが、実際に先祖のその名前の人がいたらしい。

 祖父はその先祖にあやかって、初孫の僕に「半兵衛」と名付けさせたのだった。

 この名前のせいで、僕は小学生の時に散々揶揄(からか)われた。

 

 二つ目は鼻のことだ。

 どういうわけか、小学五六年生の頃から、僕の鼻は時々大きくなるようになった。

 興奮すると、急に鼻が高くなり、数センチほども伸びる。「膨れる」と言うより、前に「突き出る」と言った方が正確な表現だ。このことが他の生徒に知れると、僕のあだ名は「ピノキオ」から「ピノ」になった。

 中一になると、これが五センチに達するようになった。

 五月の連休明けのこと。

何時になく気温が上がったのだが、まだエアコンが入る季節ではないから、窓を開け、皆がTシャツ一枚になった。隣の席は幼馴染のヨシコちゃんだったが、この子が見ている前で、急に僕の鼻が大きくなり始めた。

 「こりゃ不味い」

 僕は窓側の席だったから、外の方に顔を向け、深呼吸を三度した。

 だが、鼻は静かにならず、どんどん高く伸びた。春先だったことも関係している。

 すぐに、左の列のタカオが気付き、声を上げた。

 「おい。ピノの鼻がデカくなってるぞ」

 皆が僕を見た。

 「おお。スゲー」「大きい」

 皆が騒いだので、僕は鼻を静めようと焦ったが、そういう時には余計に思うようにならぬものだ。

 どんどん鼻が突き出た。

 「なるほど。半兵衛が『ピノ』と呼ばれるのはこういうことかあ」

 教室中が沸いた。

 僕は焦りに焦ったが、そのせいで、少し鼻血を出してしまった。

 これでは、さすがに授業にならぬので、担任の男性教師は僕に「保健室に行け」と命じた。

 「ヨシコさんも保健室まで付き添ってあげて」

 そこで、僕はヨシコちゃんと一緒に、学校の保健室に行った。

 

 保健の先生は、若くて美人だった。

 僕を見ると、すぐに今起きている事態を悟った。

 「どうしちゃったの?ぶつけた?」

 これにヨシコちゃんが答える。

 「半兵衛君は、時々、鼻が大きくなるのです。だから皆にピノキオって呼ばれてますね」

 「すごいね。本当にこんな風になるんだ」

 先生は脱脂綿を取り出すと、鼻血の出ている鼻の穴にそれを詰めてくれた。

 「ここで少し休んで行きなさい」

 そしてヨシコちゃんに、「あなたは教室に帰りなさい」と告げた。

 

 ヨシコちゃんが去り、僕は先生と二人だけになった。

 「竹中君は、時々こんな風になるの?」

 先生は僕の鼻に顔を近づけて詳細に眺める。

 先生の顔が間近に見える。何だかよい香りがした。

 この日はすごく暑かったので、保険の先生も白衣を脱ぎ、Tシャツ一枚になっていた。

 首回りの開いたシャツだったから、先生の豊かな胸の谷間が見えた。

 すると、僕の鼻がまたひと際高くなった。

 「あらあら。なるほど。こんな風に大きくなるわけね」

 僕は思わず先生に謝った。

 「すいません。変な気を起こしたわけじゃないのです」

 だが、そう言ったことで、逆に先生が気付いた。

 「もしかして、女子を見るとこんな風になるの?今日は皆が薄着になってるから」

 僕は素直に「はい」と答えた。

 先生は少しく思案していたが、幾らか言い難そうに僕に訊いた。

 「変な風になるのは鼻だけなの?」

 女性を感じて変化が起きるなら、きっと別のところにも起きるに違いない。先生はそう考えたのだ。

 

 「はい。実はそうです」

 僕は恥ずかしかったが、正直に答えた。

 「下の方もちょっと」

 最初に「僕には三つの悩みがある」と言ったが、三つ目がこれだった。

 鼻が高くなる時には、同時にイチモツも大きくなっていたのだった。

 それも途方もなく大きくて、もやもやした気持ちを抑え込まぬと膝に届いてしまいそうになる。

 「そこじゃあ、見せてというわけにも行かないわね」

 先生は少し前に出て、僕の下半身を覗き込んだ。

 先生の胸の谷間が一層近くに見えた。

 で、すぐに僕のイチモツが反応してしまった。

 すぐにズボンの膨らみでそれと分かるほどの大きさになった。

 先生はそれを見て息を飲んだ。

 「あらま。本当だわ」

 また少し思案する。

 「それなら、教室には戻れないわね。じゃあ、私の父が経営している病院に行って相談しましょう。父と兄は内科医なのよ。私もついて行ってあげるから」

 

 僕は先生と一緒に学校を出て、市内にある先生の家の病院に行った。

 家族だから、先生が用件を伝えると、すぐに診察室に通された。

 最初に先生が父親らしき初老の医師に、僕の病状を伝えた。

 「この子は思春期で今はちょうど大人になろうとしている時期なんだけど、女性を性的な対象として捉えると、すごく大きくなるのよ」

 「え。当たり前じゃないか。中一くらい男子なら皆がそうだよ」

 「でも、この子は鼻が高くなるし、下の方も普通じゃちょっと考えられないくらい大きいの」

 「病院で診て貰うほどってこと?」

 「そうよ」

 「じゃあ、ちょっと診てみようか。お前は席を外していなさい。女性がいればこの子が恥ずかしくて堪らない」

 「はい」と返事をして、保険の先生が部屋を出て行く。

 

 医師は改めて僕に向き直った。

 「どんな風に大きくなるの?どれくらい?」

 そんなことを言われても、本人には上手く説明できない。

 「鼻は五センチくらいですね。あそこは・・・、大体、膝くらいまでです」

 医師の眉間に皺が寄った。

 「膝だって。まじかあ」

 医師は娘と同じ表情で少しく思案したが、徐に一人の看護師を呼んだ。

 すると、程なくその看護師がやって来た。

 その女性を見て、僕は医師が何故その人を呼んだかが分かった。

 その看護師はすこぶるスタイルがよく、肉感的だった。看護着は薄着で、中には下着だけだ。

 「君。ちょっとこの子の前でひと回りくるっと回ってくれんか」

 変なリクエストだが、看護師はすぐにそれに応じた。

 僕は心の中で、「あれあれ。この女性はこの医師と何かありそうだ」と思った。

 だけど、僕の眼の前の看護師が背中を向けると、細いウエストや丸いお尻の線が間近に見えた。

 「君。この子の前でしゃがんで、顔を見上げてくれんかね」

 「はい」

 看護師が僕の眼の前で膝を折ると、襟の間からふくよかな胸の谷間が見えた。

 恥ずかしい話だが、僕はたちまち反応してしまった。

 僕のイチモツはすぐに大きくなり、パンツの隙間から顔を覗かせてしまった。

 医師はそれを目にし、思わず声を上げた。

 「こいつはスゴイ。三十㌢を軽く超えそうだ」

 医師は好奇心が勝ったのか、あろうことか僕のイチモツを直接手で触れた。

 もちろんだが、刺激を与えられ、僕のイチモツは膝に届きそうなくらい伸びた。

 看護師が脇で見ていたが、それを見て、何故か嬉しそうに声を掛けた。

 「こういう男性はこれまで見たことがありません」

 医師がすぐに答える。

 「記録に残る巨大なイチモツだぞ。皆を呼んで見せたいほどだが、君にとっては恥ずかしい話しだろうからそれも出来ん」

 ここで、医師が我に返る。

 「スマンスマン。あまりに立派だったから、興味本位の話し方をしてしまった。君は中一だということだから、きっとこのことを悩みに思って来たかもしれん。でもそんな必要はないんだよ」

 「え。僕はコイツのおかげで散々苦労してますけど」

 医師が大きく首を振った。

 「昔のことだ。成人映画産業にハリー・リームスという男優がいた。世界で最もイチモツが大きいと言う理由で、その男優はひと財産を築いた」

 一体、この医師は何の話をしようと言うのだろう。僕は不審に思った。

 医師が構わず話を続ける。

 「その男優のイチモツの長さは三十㌢くらいだった。君のはそれを凌駕するほどのキョコンだ。それだけで君はキョマンの富を築けるんだよ」

 「僕はひと前にこれを晒すつもりはありませんが」

 まったく迷惑な話だ。

 すると医師はこう答えた。

 「見せる必要はないんだよ。コイツを持っているというだけで武器になる。誰も君には勝てないからね。神社を開いて神主になれば、何万人もが拝みに来る。君自身がご神体で『金精さま』なんだよ」 

 この時、何やら後ろで人の気配がしたので、振り返ると、背後には二十数人の女性が立っていた。

 この病院の看護師全員が僕のイチモツの噂を聞き、見物に来たのだった。

 ここで覚醒。

 

 このまま文字に落とせるのか?と思うほど、変な夢だった。

 前日に神社の前で写真を撮ったが、私の前に幽霊の腕が突き出ていた。

 地面から上半身が出て、後ろから抱き付いたと見えるが、その腕がちょうど巨大なイチモツのように見えた。あえてコメントは付けなかったのだが、その情景が脳裏に残り、そんな夢を観させたのだろうと思う。

 私の鼻はピノキオのように伸びたが、股間ピノキオだった。

 さすが夢で展開がぐちゃぐちゃになっている。

 だが、まさに夢らしい夢で、これは「体調が著しく改善されている」ことの表れだと思う。

 ドラスティックな変化とは、まさにこのことだ。一年前も二年前も私は「ほぼ死人」だった。 

 

追記)夢を観た原因がこれ。