日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第122夜 火の妖怪

バイクに乗っているうちに、ガス欠が近くなっていることに気付きました。
道筋の先にスタンドが見えましたので、そこで補填しました。
再び走り出すと、住宅地に入ったところで、足元のエンジンの下の方から炎が噴出してきました。
「ありゃ。これはヤバイ」

バイクを止め、火を消そうとするのですが、革ジャンで叩いてもなかなか消えてくれません。
すると、近くの家から、騒動を聞きつけた若者が現れ、「これを使うといいよ」と消火器を差し出しました。
「どうもすいません」
消火器を受け取り、シューッと吹き付けると、ようやく鎮火。
いやあ。火事にならなくてよかった。

ほっとしたのもつかの間で、道のあちこちに小さい炎が立っています。
「あれれ。何だコリャ」
タンクに穴でもあいていて、ガソリンが落ちた所に引火したのでしょうか。
消火器は小型で、中は既に空だったので、再び革ジャンでバタバタ叩きます。

「水でもぶっかける?」
さっきの若者が、外の蛇口に繋いだホースを握っていました。
「火のついた油に水を注ぐのは不味いのではなかったかな」
ここに、脇から現れたオバサンが口を出します。
「これくらいの小さな火なら、回りを冷やせば消えてしまうものよ」
そうですか。やってみよう。
火の周りから徐々に水をかけると、しばらくは燃えていましたが、だんだん消えていきました。
「コンクリの上でなくてよかったね。火を乗っけたまま水が流れるところだった」
今度は別の叔父さんが横から口を出しました。

火事にならなくて良かったと、口々に言い合いながら、人が散っていきます。
ホントーに良かったなあ。
オレのバイクから出た火で、この辺一帯を丸焼けにするところだった。
溜息をつき、何気なく上を見上げると・・・。
近くの家の屋根に20センチくらいの火が見えます。
「わわ。こりゃいかん!」

大きな声を上げようとしたのですが、よく見ると、その火は少しずつ移動していました。
じっと凝視すると、その火の塊の上にはなにやら顔のようなものが付いてます。
黒い頭は、コウモリのような形です。
「あれって、妖怪ですかね」
隣で先程の若者が訊いてきます。
「どうやら、そのようだ。すぐにあそこの家に教えてあげないと」
すぐさま若者がその家のチャイムを鳴らし、注意を呼びかけています。

よかったなあ。オレが原因でなくて。
バイクから火が出たのではなく、あの妖怪が付け火をして回っていたのでした。
ここに若者が戻ってきました。
「スゴイですね。ああいう生き物もいるんですね。写真を撮っとかないと」
若者は携帯で撮影を始めました。
ああ、そういえばデジカメを持ってたな。ムービー録画で撮っておくか。
撮影を始めると、再び周囲に人垣が出来始めました。

ここで覚醒。
夢の内容が一体何を象徴しているのか、まったくわかりません。
妖怪は、コウモリの頭だけが動物的で、胴体と翼は総て炎でした。