日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

「オバサン」の話

 昨日は家人と一緒に買い物に出ました。
 車が踏切で停止すると、遮断機の手前に女性が立っていました。
 こちらに背中を向けているので、どんな人かはわかりません。
 「まさに中肉中背とはこのことだ。きっと30歳くらいだな。もう1つ2つ若いかも」と呟くと、家人が反論しました。
 「ベージュのレインコートなんて若い人は着ないよ。もう春なのに、厚めの靴下を履いている。ファッションよりも実用性を重視するのは、オバサンだよ」
 家人もとっくの昔にその域なのに、他人を「オバサン」呼ばわりとは少しずうずうしい。
 もちろん、そんな感想は一切口には出しません(笑)。
 「背中がすっきりしてるし、髪の毛がつやつやしてるぞ。体型は努力で維持できるけれど、髪の毛の張りや艶を保つのは難しい」
 「そんなことないって。ゼッタイにオバサンだよ!」
 家人はむきになって言い張ります。
 車の中なので、外には聞こえないはずで、さらにこちらは両方ともマスクをしていました。
 見ず知らずの女性の年恰好の話で、こちらにとってはどうでもよいのですが、こうなるとついつい声高になってしまいます。
 
 すると、背後の気配に気づいたのか、女性が後ろを振り返りました。
 「やっぱりオバサンじゃないの」
 「本当だ。43、44ってとこかあ。もしかすると45過ぎ」
 ここでその女性が、当方の眼を見ます。
 (聞こえてないよな。遮断機がカンカン鳴ってるし。)
 そ知らぬふりで、視線をそらしたのですが、女性は家人の顏と当方の顔を順番に見ていました。
 夫婦の会話が止まり、女性は一旦、私たちに背中を向けたのです。
 しかし、その後もその女性は何度も振り返って当方の顔を見ました。
 「見られてるという気配を感じたのかもしれないな。気づいてるようだよ」
 「そりゃ、猫だって、見られていれば気にするでしょ。人ならなおさらでしょ」
 「やはり、どこか変な気配があるんだろうな」
 はっきりと視線を外側に向け、家人と別の話を始めても、その女性は何度も振り返りました。
  やはり人間も動物です。
 気配で感じることがあるようです。
 
 他人事なので、ことさら「オバサン」と強調して言ったのですが、その女性は年恰好の割には(失礼)すっきりしたスタイルの持ち主でした。
 髪の毛を保つためにいったいどんなケアをしていたのでしょうか。