日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

ある女性の話

家人は外国籍で、小学校の英会話講師です。
その同僚に、やはり外国籍の女性が居ました。
家人より先輩で、あれこれと親切にノウハウを教えて貰った人です。

この女性の外見は、例えて言うなら、故「いかりや★介」さんに似ています。
「女性なので、やはり多少はハンデがあるかな」
どうしてもそう感じてしまいます。

ところが、この女性は半端なく料理が上手でした。
お惣菜をおすそ分けして貰ったことがありますが、正直、「今までの人生で食べたお惣菜で一番美味い」と思いました。
この時の料理はひじきの煮たのや、肉じゃがなど、和風のおかずです。
自国の料理ではないのに、プロが作るものにそん色がないくらい見事な味でした。

また、その女性のもう一つの取り得は、話し方に品があること。
日本語が堪能だったのですが、日本の女性よりはるかに丁寧な言い回し方をします。
声質もきれいで、柔らかい。
このため、電話を受けたりすると、うっとりします。
いかりやさん似の容貌は、ちょっと信じられないです。
耳元でお話を読んでくれたら、さぞ気持ち良かろうと思います。

この料理の腕と美しい声があるので、私は妻に「もしお前が死んでくれるか、離婚してくれるなら、俺はその人と再婚したい」と言ったことがあります。
もちろん、それほど「素晴らしい」という褒め言葉です。

ところで、その女性が料理の腕を見込まれて、あるクラブにスカウトされました。
仕事は専ら裏方で、厨房の中です。
夕方に出勤して、おつまみ用のお惣菜を作ると終わりなので、2時間かそこらのアルバイトです。
その店で仕事を始めたのですが、その女性は数か月でその仕事を辞めました。
それは何故か。

その理由は、お客さんの1人が、その女性の料理を口にして、すぐに「ここの仕事を辞めて、私と結婚してくれ」と申し込んだから。
その客は、資産家の跡継ぎで、3回ほど結婚・離婚を繰り返していたとのこと。
女出入りが多く、夜遊びの果てに行き着いたのが、いかりやさん似のその女性だったのです。
その後、2人はめでたく結婚し、今は都心の高層マンションの上の階で暮らしているらしいです。

こう書くと、その男性が「もの好き」だったみたいに読めますが、主旨はまったく違います。
その女性が与えてくれる、声と料理の癒しは本物なので、今も「その人が離婚して、妻が死ぬか、オレと離婚してくれるなら」、オレと結婚してくれないかな、と思います。
その女性の持つ腕とセンスに、それほど説得力があった、ということです。

何か圧倒的な長所があると、他のことは気にならなくなるものなのですね。