1年の中で、最も幽霊が出ない季節は夏です。
たぶん、空気の状態(気温や湿度)と関係しているのではないかと思います。
ところが、今年はいつもとは違うようで、行く先々でおかしな気配を感じます。
正確には「感じる」といった生易しいものではありません。
外出して、所用を済ませ、車に乗った時のこと。
自分1人しか居ないはずなのに、後部座席にだれかが居るような気配があります。
人の居る重みというか、空気があるのです。
男だとか女だとかも気配で分かります。
この場合は女でした。
「ありゃま。一緒に乗って来ちまったか」
こりゃ不味い。
悪いモノだと、車の事故を誘発させたりします。
具体的には、後ろの車の運転手の目を遮って、追突させたりします。
ああ気持ち悪い。
バックミラーを見ることも出来ません。
見た時にそこに座っていられたら、運転中はどこにも逃げられないので困ります。
とりあえず、柏手を叩きます。
脇に鈴を置いていますので、「チーン」と鳴らします。
いずれも相手が嫌うものです。
道路の脇に車を停め、30回くらい九字を切った後、般若心経を唱えます。
気持ちが静まった頃に、運転席に戻ると、気配は消えていました。
通り過ぎると、まったく何ともありません。
この手のは、大体そうです。
霊魂が独立した存在だということを信じない人は「気のせい」だと言うでしょう。
怖いことを考えていた時は、大体そうです。多くは「気のせい」。
でも、何の前触れもなく、唐突に恐怖を覚えた時は要注意だろうと思いますね。
「う。気持ち悪い」と思った時には、もはや傍にいると言います。
ばしんばしんと柏手を打つのが、一番即効性があるようです。
車に乗って来たモノは、たぶん家に帰りたかったのでしょうが、どこに連れて行けば良いかが分かりません。いかんともしがたいです。