◎夢の話 第672夜 トイレが無い
15日の午前3時に観た夢です。
我に返ると、俺はビル街に立っていた。
ショーウインドウに映る姿を見れば、俺は27、28歳の格好をしている。
「こりゃ夢だな。俺は夢の世界にいる」
周囲のビルは若い頃に働いていた研究所や官公庁をデフォルメしたものだ。
それと観光地のホテルの佇まいも入り混じっている。
すると、俺のところに一人の女性が近付いて来た。
年齢は50歳くらいで、上品な服装をしている。
「ちょっとお尋ねしたいのですが」
「何ですか」
「この辺にトイレはないでしょうか。どこに入っても、使えないか、あまり綺麗じゃない」
ああ、ここはそうだっけな。ウンチはお金の象徴だから、目覚めている時にお金の周りが良くないと、そういう夢を観てしまう。
「堂々と一番立派そうなビルに入って、そこで用を足せば良いんですよ。入り口で見咎められることがないから平気です」
この世界にガードマンはいない。俺は常日頃から、抑制やモラルとは無縁の生活をしているからだ。
だから、夢の中でも、どこで何をしようと自由だ。
「そうなの。じゃあ」と女性が周囲を見回す。
「あそこがいいですよ。あれは大使館ビルで人が少ないもの。金持ちの国の大使館が入ってます。トイレももの凄く立派で広い」
女性が微笑む。
「資本主義の本質は、血縁や縁故で繋がれたごく少数の人が、この世の富の大半を独占することにありますね。それでトイレも独占されているのね」
「はは。そうです、そうです。全世界の富の80%くらいは人類人口の2%の人間が支配しています。そのうちの70%が米国に住んでいます。ま、トイレに限って言えば、綺麗じゃないですけどね」
「アベ総理だって、別に普通のことをやろうとしていただけなのね。身内や仲間にそれとなく国富を分け与える」
「そうです。資本主義ですもの。国を動かせる立場になったら、一族や仲間で国庫から引き出すのがセオリーですよ。ただ米国の金持ちほど実力がなくて、正義の冠を被せて、事態を隠すのがヘタクソなんです。貴族だったら当たり前のことなのに、アベ夫妻は糾弾される。それはそれまで持っていたものが小さいから。米国じゃ、金持ちが他国に言い掛かりを付け、戦争を仕掛けて、軍需産業で国会予算級の金を儲けていますが、そういう人は一切表には出て来ません。億万長者として名前が出て来る人は、まだ大したことが無いんですよ」
金持ちとして表に出る人の資産の大半は「株券」だ。株式資産など、仮想通貨ほどではないが実体が無い。
「でも一般人は、道でトイレに行きたくても、なかなか行けません。便の処置に四苦八苦ですよ」
「ま、明治時代なら、伊藤博文みたいなことがすぐに起きたでしょうから、一般人のために公衆トイレが作られるのが普通です。そうして置くと、不都合に気づかないので、高層ビルに一般人が入ってくることも無い。今はそうじゃなくて、金持ちを優遇する姿勢が歴然と見える。そこがヘタクソ」
「じゃあ、私も堂々と入ればいいんですね」
「そう。思い切り山盛りのウンチをすればいいのです」
俺なら便座にちょっと悪戯をして帰って来るね。
ここで覚醒。
目覚めた後で、「どうもストーリーがおかしい」と思ったのですが、テレビが点けっ放しで、放送大学講座のチャンネルになっていました。どこかで講座を耳にしていたわけです。