◎失意のアスカはどこに行く
ＷＷＥの女子の試合を観ているのだが、メインロースターのスマックダウンやロウよりも、傘下団体であるＮＸＴの方がはるかに面白い。
スマックダウンにしてもロウにしても、へんちくりんなドラマ仕立てや小細工が多くて、試合本来を楽しめない。
ベビーフェイスとヒールを完全に色分けして、まともな試合をさせなくする。
アスカ選手は前人未到の連勝記録をひっさげてスマックダウンに移ったのに、カーメラとの抗争では、妙な家来男が出て来て、まったく試合にならなかった。
ＷＷＥは中軸のチャンピオンをＷＡＳＰにし、アジア人など有色人種を「中心軸にしない」傾向がある。男の仲邑真輔選手が例外に近い存在だったが、やはり最近は少しずつ曲がって来ている。
カーメラ選手は真面目に試合をやれば、そこそこ実力がある筈なのに、まともな試合をするとアスカ選手に勝たれる恐れがあるから、ああいう仕立て方をしたのだろう。
猿でもやらないくだらない試合をやらされて、アスカ選手はさぞ落胆しただろうと思う。
ま、経営陣の思惑や相手に付き合わず、相手をＫＯしてしまえば展開がまた違ったはずだが、そこはそれ、アスカ選手も大阪プロレスを経験しており、観客に見せることを考えてしまう。
付き合ってしまうわけだ。
それでは、結局、自身もファンも失望するし、フロントは扱いに困る。結果、干されてしまう。
ショー重視のＷＷＥでは、この先の展望が開けない。
新日に女子部みたいなのがあれば、正攻法のストロングスタイルのレスリングが見せられるのだが。
アスカ選手はこの先どうするのだろうか。
ＮＸＴでは、やはり日本人のカイリ・セイン選手が女子チャンピオンになった。
相手のシェイナ・ベイズラー選手は総合格闘技系で、カイリ選手とは合わない相手のような気がするのだが、試合をしてみると、よくスイングする。
ＷＷＥでは、３回戦って、カイリ選手の２勝１敗。
ベイズラー選手は日本にも来ていたので、日本人選手との噛み合わせ方をよく知っている。
それでいて、しっかりと自己主張をしており、カイリ選手の足を「アリエネー角度」に捻っていた。
見た者に悪寒が走るくらい折り曲げているから、思わず、「おいおい。それじゃあ、折れるだろ」と呟いてしまうほどだ。
双方とも、いずれメインロースターに入って行くと思うが、アスカ選手みたいな境遇になるのではないかと危惧してしまう。
ベイズラー選手は上に上がると、ロンダ・ラウジー選手の敵役にされそうだ。
ラウジー選手は、柔道の銅メダリストでＵＦＣのバンタム級チャンピオン。
日本人が見ると、「たかが銅メダリストかよ」だが、そこはそれ米国出身の白人選手だから、ＷＷＥが最も贔屓にしたいタイプだろう。
こんなやつ、日本人の柔道の金メダリストとか、レスリングの金メダリストが大挙してプロに転向し、軽く捻ってやればいいと思う。
日本には「野獣」と呼ばれる女子選手も、五輪で３、４回金を獲った選手もいる。
「ロンダ・ラウジーなんか、松本薫に比べれば、ただの小猫ちゃんだ」と、何千人もが書けば、案外実現して行くのかも知れん。
