◎古貨幣迷宮事件簿 「布袋入りの雑銭」続き
画像の品はこれまでも幾度か掲示して来た。
何かしら反応があり、情報が入って来ることを期待したためだが、結局、何も得られず、事態は15年以上、1ミリも動いていない。
これは秋田県の盛岡と秋田の藩境付近で出た袋入りに雑銭になる。
画像ではよく分からぬかもしれぬが、大半がペラペラの薄い銭で、触った瞬間はかつての日原銭を思い出す。
金色が未使用の十円玉(青銅)色のものが大半で、幾らか黄色いものも混じっている。当初は真っ赤だったが、15年以上放置していたら、半分は落ち着いて来た。
デジカメ画像よりも、スキャナで撮影した画像の方が目視に近い。
特に配慮しなかったので、中には青錆が出た品もある。
銭種はごく普通の雑銭で、1枚だけ中国銭が混じっている。これもペラペラ。
三枚だけ銭種の分からぬ寛永銭があり、これを別に取り置いたのだが、これが祟り、紛失してしまった。見たことの無い書体だから、手を加えた品かも知れぬが、今ではどうすることも出来なくなった。
状況が分かりやすいのは、後半の画像だ。
同系統の書体(不旧手)のみを抽出すると、こんな風な品が出た。
01は本銭を少し削ったものかもしれぬが、02からは厚さが半減するので尋常ならぬ違和感がある。
右に向かって銭径が幾らかずつ小さくなるが、本銭にも大小のバラエティがある。
ただ06の薄さは本銭にはなく、また内郭も抜けている。
目的は分からぬが、何かしら「調整した」「操作した」ことには疑いあるまい。
銅材を少しずつ掠め取るために銅銭を削るケースがあるのだが、その場合は多く縁の部分のみを削る。
先輩方数人に見て貰ったが、いずれも首を捻るばかりだった。
このまま古色が着けば、ごく普通の小様銭に変じるのかどうか。
地方の変種の一手になるかもしれんので、既に研究している人があれば贈呈しようと思っているが、その気配がない。
興味のない人に差し上げても、ただ屑銭の中に放り込まれるだけだと思う。
こういうのは1枚ずつ見ても分らない。
袋に入った状態で物置から出て来たから、初めて違いを認識出来る。
当初は大半が「未使用の十円玉」に近い状態だった。
返す返すも、「変な書体」の数枚を紛失したことが悔やまれる。
その頃は「雑に手を加えた参考品」として軽視していた。