◎現実に起きることもある
いつも「怪談やホラー映画のようなことが現実に起きることはほとんどない」と記している。
これは、無用に「あの世」に対する怖れを招かぬためだ。
実際、「本当にあった怖い体験」に類するものは、そのうちの何割かは実際に起きたことだろうが、半ば以上は想像や妄想による。
本人が「怖ろしい」と感じる瞬間があったので、その前後に、それを説明する因果なり出来事を追加し脚色する。
だが、一方で「ほとんどない」は「幾らかはある」と言う意味でもある。
私自身で言えば、「カーナビで白河の山中に導かれ、先が無くなったと同時に、カーナビ画面が真っ黒になった」という実体験がある。道が車の幅より狭くなったところで、ナビがそれまでの指示を止めたのだ。途中から、私道はおろか未舗装の農道・林道に近かったから、本来、カーナビは進路の指示をしない場所だ。
誰もいない山奥に意図的に誘導していたとしか考えられない。
この手のことは数年に一度くらい起きている。努めて「あの世ウォッチング」を心掛けている者でこうなのだから、普通に暮らしている人なら十数年に一度あるかないかだと思う。
さて、昨夜はそれに類する出来事があった。
ニ十三日に居間のテレビで白顔の人影を見たので、その時の画像を拡大し、ブログに追加した。
その後、階下に降り、少し休むことにしたのだが、横になってスマホに電源を入れた。
画面はまだ最初の待ち受け画面だ。
すると、急にスマホから「ジジジジ」という雑音が出始めた。
その瞬間、思い浮かんだのは、ホラー映画の場面だ。ラジオや無線が混線した時のように雑音を立て、それに「あの世の者」の声が混じる。そんな場面になる。
その直後、実際に声が聞こえた。
スマホからは、五十歳台の男の声で「ついた。ついた」とだけ言う声が響いた。
あるいは「聞いた。聞いた」である可能性もあるかと思ったが、どちらかと言えば、「ついた。ついた」のようだった。
私はここで識者に訊きたいが、スマホの初期画面で、アプリを起動してもいないのに、通信したり、音を流すケースがあるのだろうか。これを聞いた直後では「もしかしたら、何かの音を拾ったのかも」と思ったりもしたが、それにはそれなりのアプリが必要だ。
ま、当家では回線の繋がっていない受話器が「プリリ」と受信することがある。(つい先ほども起きたが、これは物理的な要因も想定出来るようだ。)
では、逆に何者からのメッセージのような話なのか。
旅先などでは、近くに誰も見当たらぬのに、「助けて」という声を聞くことが時々ある。楽しい行楽が台無し。
しかし、今回は意味が分からない。
「ついた。ついた」というのは何を指しているのか。
最初に閃くのは「着いた」だが、一体、誰がどこに「着いた」というのだろう。
色んなケースを考えさせられたが、結論は、その声が語っているのは、「憑いた」という言葉だ。
「憑いた。憑いた」と報告しているのだ。
まるでホラー映画であり怪談だが、思い当たるふしもある。
もちろん、昨秋に村社の傍で拾った悪縁だ。
その後、半年以上、何ひとつ良いことが無く、体調がダダ下がりに下がっているのだが、これもその影響か。
これはまあ、私にも想像がつく。
ニ十三日には私の抱える状況の一端を垣間見たわけだが、私が明確に悟ったことを知り、「俺が憑いたぞ」と宣言しているのかもしれぬ。
もし、そうであれば、二十三日の「白い顔たち」は気のせいででも何でもなく、現実に私が置かれた状況だ。
まさにホラー映画の展開だが、ホラー映画と違うのは、私が多くの人のようには、死ぬことを怖れていないことだ。
「祟り」や「障り」はそれを受ける当事者が死んでも終わらぬが、逆に、死ねば対等の立場になる。肉体の制限を受けない。
今は相手のことを正確には掴めぬわけだが、死後はそれが出来る。
そこで、「生きている者に関わろうとしたり、支配しようとすれば、必ずやり返すぞ」と強く念じた。
悪戯が過ぎ、この先、もし私がその悪影響で死ぬのであれば、まずはその神社の総本山を焼き払ってやろうと思う。
それが起きるのは死後のことだから、人間の法には触れない。
自身の周りにいる低級な者を管理できなくて、何が神だ。
周りにいるのは、ごろつきばかりじゃないか。
と、私が思うので、なるほど、これまでその神社と相性が悪かったのも頷ける話だった。
「ついた。ついた」と言う声は、「聞こえたような気がした」という次元の話ではなく、現実に響いた音だ。この時、息子が目覚めていたのなら、同時にこの声を聞いた筈だ。
(追記)
謎の半分は解けた。
昼食後に寝っ転がって、ヨウツベを観ようとしたが、動画が途中でぷつんと切れ、再びあの「ついた」の声が響いた。
点検すると、どういうわけか、「音声認識」が作動していた。
私は一度もこれを使ったことが無い。アプリのアイコンも表示していない。
だが、何らかの理由でアプリが作動していたようだ。
あるいは機器的なエラーかも知れん。
この場合は、昨夜のも同じ理由によるもので「気のせい」だろう。
でも、この他に別の解釈もある。
「音声認識」が何かの問いに対して「答えた」という場合だ。機械の可聴域周波数は人間のそれとは違う。
人間の耳には聞こえぬが、何者かが問いを発し、スマホがそれに答えた。
さらにオカルト的に走れば、これが答えなら、質問は概ねこんな具合だ。
「今の苦痛の原因は何か?」
「憑いた」
ま、これくらいのことは普通に起こり得る。
経験というものが助けになるのは、こういう事態でもあまり動じずに済むことだ。
初めてドアが開かなくなった時のことを思い出すが、コンクリ-トの壁に埋め込んだように動かなくなったので、言い知れぬ恐怖を感じた。
だが、慣れるとそれほど驚かなくなる。「そういうことも起こり得る」と知っているからだ。
そして、どうやら後者のようだ。
息子が所用で外出し、家の中には私一人なのだが、たった今、居間で誰かがゴトゴトと足音を立てている。
ホラー話の類でなく、現実に起きていることだ。これを読んで誰がどう思おうが知ったことではない。
殆どの者はあの世について何ひとつ知らないし、他人事だ。