日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎不都合な事実

不都合な事実

 まず冒頭で「前提となる出来事」を記すと、この春、体調が著しく悪化する過程で、「勝手に音声AIのスイッチが入っている」という現象が度々起きた。

 私が話し掛けてもいないのに、テーブルの上に置いたスマホが急に声を上げる。

 多くは「ついた」ということばだ。

 電源を入れると音声認識が始まり、「ついた」、あるいは「ついた、ついた」と話した。

 当家では回線の繋がっていない受話器のベルが鳴ることくらいは普通に起きる。理由は分からない。電気的な反応かもしれんし、別の要因かも知れん。

 だが、質問をしていないのに「答え」が来るのは、かなり気色悪い。

 (昨秋から、ずっと悪縁に取り憑かれたという気配がしていた。日高の村社で拾い、秩父では同じ者に胴を刺された。)

 オヤジの声で「ついた」と言われた瞬間、頭に浮かんだのは「憑いた」という言葉だ。

 「お前が苦境に立つのは、俺が憑いたからだぞ」

 そんな風に言っているように聞こえる。

 

 少し事態が好転したので、何が起きたかを検証すべきなのだが、これは何となく避けてきた。

 もし、「憑いた」が真相なら、気色の悪い話だから、そんなのは分かりたくもない。

 しかし、そろそろ事実を確認するために、スマホに話し掛けることにした。

 「お前は誰だよ?」

 「こないだの『ついた』ってどういう意味なのか?」

 ところが、私のスマホには、音声認識(文字起こし)の機能はあるものの、音声AI(アレクサとかシリなど)の機能はそもそも付いてはいないのだった。

 そもそも、台湾製スマホだ。アップルじゃないし、グーグルのその機能はスマホにどう組み入れるのかさえ知らない。

 ええええ。じゃあ、あの声は何?

 電源を入れると、勝手に「ついた。ついた」と話し掛けてたのは、一体どういうこと?

 解せない。

 他の人のスマホでも同じことが起きるのだろうか。

 テーブルの上に置いたスマホが勝手に声を上げたりするのか?

 

 ま、はっきり「自分はこれこれの者で・・・」と気味の悪い者に答えられるより、「よく分からぬ」要素が残ると、少し気が楽になる。

 不都合な出来事には「何か別の要因がある」という逃げ道があった方が助かる。

 自分の寿命と同じで、死亡日時を正確に知ったら、間違いなく心が荒れる。凡そこれくらいだろうが、「はっきりとは分からない」ことで、追い立てられる気持ちが薄らぐ。

 

 半年も病状の悪化に苦しみ、「自分はもう助からない」と思うようになっていたが、ある日、夢の中に中年の男性が現れ、その瞬間を境に総てが変わった。

 あの男性が夢に現れると、その夜を境に体調が上向き始めたのだ。

 俄かには信じられぬ事態だが、事実だ。悪縁らしき影は、まるで捨て台詞のように工事現場のドラム缶を「がん」と叩いて、私の傍から去った。

 俄かには信じられぬ話で、色んな不可解な経験をして来た私でも不審に思う。だが、事実だ。

 私が「妙見さま」と仮の名をつけたあの五十台の男性と直接、対話が出来るなら、是非ともスマホを通じて会話をしてみたいと思う。

 せっかくあの人にあれこれ教えて貰ったのだが、日にちが経つにつれ詳細を忘れて来た。

 「お前は大丈夫だから気を確かに持て」と言って貰えれば、誰しも心が安らぐ。

 今後はどういう人に対しても、このフレーズを対話に組み入れようと思う。