日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第1K58夜 赤ら顔の大男

◎夢の話 第1K58夜 赤ら顔の大男

 九月四日の午前三時に観た夢です。

 

 昨夜はほとんど寝られなかったので、さすがに翌日の晩御飯の後には眠くなった。

 食後、居間の竹茣蓙に寝そべって映画を観ていたのだが、いつの間にかそのまま寝入っていた。

 割と長く眠った気がするが、例によって「カサコソ」という物音が聞こえたので、ゆっくりと眠りの淵から浮かび上がって来た。

 物音は部屋の向かい側からで、女が何事かを語る声だった。

 「ああ、やはり直接神社に向かったのでは、幾らも落とせぬのだな」

 浮かばれぬ幽霊を離すには、お寺の方が向いている。これは幽霊の方が受け入れやすいという事情による。

 「ま、寝られただけましだ。あの数だもの。そうそうきれいにはならんよな」

 次第に頭がはっきりして来たので、薄目を開けた。

 

 すると、すぐ目の前に身長が190㌢くらいの男が立っていた。

 直感的に「あ。息子がトイレに立つのだな」と思う。

 当家の長男は概ねそれくらいの背丈だ。

 だが、灯りの消えた暗がりの中で見ても、顔がすごく赤い。

 「熱でもあるのか。もしや例のアレ?」

 すると、男が視線を落として私の方を見た。

 ありゃま。大男は息子とは全然違う顔をしていた。

 まるで「鍾馗さま」のような佇まいだ。

 「おいおい。それじゃあ、お前もこないだのヤツらのお仲間か」

 こんなヤツまでいるとは恐れ入った。

 「やはりお寺に行き、ゆっくりお焼香をしながら道理を説くべきだな」

 朝起きたら、すぐに出発しよう。

 そんなことを考えている間に、再び眠くなり、すぐに眠りに落ちた。

 

 二度目に目覚めた時には、あの「鍾馗さま」を見たのが、夢の中だったのか、あるいは目覚めた後だったのか、記憶がはっきりしない。

 「息子かと思ったら、こっちを向いた顔が赤かった」という記憶だけが生々しく残る。

 

 女の声は本物だ。何故なら、いつも聞いているのと同じ声だから。

 生涯を通じ、生きている女性にもてた例がないのに、死んだ女はわんさか寄り付いて来る。

 男は概ねルールを守って少し離れたところにいるのに、女は「二㍍は離れていろ」という言いつけを守らずに、我先に私の体に抱き付く。