◎夢の話 第1K63夜 俺の作務衣を着ている
十月十七日の午前三時に観た短い夢です。要は神社に参拝する日の出発前の朝方に観た夢になる。
病棟の更衣室に入り、長椅子に寝着を置いて、ロッカーの扉を開いた。
病院では俺はいつも作務衣を見に着けている。ちょっと新聞でも買いに外に出かけられるので、コイツが便利だ。
ロッカーの中は雑然としている。高校生の頃と同じだが、本人はもはやオヤジジイの域だ。
「ああ。また今週が始まるなあ」
季節が変わっても、ひたすら忍耐の日々が続く。
振り返ると、長椅子のところに女が立っていた。
正確には、俺に背中を向けて立っていた。
ここは男性の更衣室なのに、なんでまた。
女は無言のまま、俺の作務衣を手に取ると、自分の着衣を手早く脱ぎ、着替え始めた。
おいおい。それは俺の作務衣なんだが・・・。
女が余りにも自然に着替えをしているので、俺はあっけに取られ、ただ眺めている。
ここでゆっくりと覚醒。
目が覚めると、すぐに合点して手を打った。
「こりゃ、八幡さまの女か、あるいは昨日の後部座席の女だ」
年齢的に若めだから、八幡さまの方か、あるいはまた別のヤツかもしれん。
「なあるほど。これが女の願望というわけだ」
俺の作務衣を着ようとしているのは、俺に化けたいという意味だ。
この俺と同化すれば、色んなことが出来る。
俺はこの世とあの世を行ったり来たりしているようなものだから、同化すればものすごく便利だ。
何かしらの思いを残すから幽霊のまま留まっているわけなので、その思いを果たすことが出来るようになる。
ま、いずれにせよ執着ということだろうから、あまり良い展開にはならない。
気を抜くと、同化されるどころか、乗っ取られることもあるから、気を付ける必要がある。
女は三十三四歳頃に胃がんで死んだ。執着は子どもに対するものだろう。
誰か分かれば、会うために連れて行ってもよいが、死ぬと論理的思考が働かなくなるから、どこの誰それかがはっきり分かることはほとんどない。たまたまその家族が近くに住んでいるなどの偶然が必要だ。
ああ、鳩尾がずしっと重い。
追記)枕元に水を備えて眠るようにしたら、五時間くらい熟睡出来るようになった。
記憶にある限り、これまで三時間ずつしか連続して眠れたことはない。
二時三時に「電話のベル」や「声」で起こされなくなるのは助かる。
よく言われていることだが、これも理由がよく分からない。
ま、理由など分からなくとも、良くなればそれでよい。