◎「身欠き鰊に寒干大根」
読み方は「みがきにしんにかんぽすでえご」。
先日、トップを訪れると、良さげな身欠き鰊を置いてあった。
「子どもの頃は苦手だったが・・・」
四十を過ぎたら、好物になった。
相棒は「寒干大根」なのだが、この時期だし、関東在住だし、手に入らない。ま、これは普通の大根でも可。
鰊から味が出るので、出汁を取る必要は無いのだが、一応、魚系ではない出汁(昆布・野菜)を取り、ゆっくりと鰊を煮た。
ゆっくりと、「骨が柔らかくなるまで煮込む」のがポイントのひとつだ。
途中から大根を投入。大根が軟らかくなるまでさらに煮る。
最後に味噌を投入して出来上がり。
こいつはうめーわ。
外国籍の家人でも「美味しい」と言う。
だが、子どもたちは少ししか食べてくれない。
ま、これは仕方がない。
当方だって、三十くらいまでは、一切受け付けなかった。
これが逆転したのは、「本物」に出会ったから。
一戸町の産直で、たまたま寒干大根を買ったのだが、これが抜群に味い。「人生の中で美味いもの五選」のランキングに入る代物だ。
父によると、「寒干大根」は火山灰を浴びた土では味が悪い」らしい。北奥で火山灰を浴びていない土地は、一戸町の楢山付近に二ヘクタールと、青森のどこかにしかない(忘れた)。
実際、色んな場所で「寒干大根」を買ったが、あの一戸町の産直の味には及ばない.。生産者の名前をメモしておけば良かった。
父は商売を息子(兄)に預けてからは、色んな場所を訪れては知識を仕入れていた。その後をなぞるのもご供養のひとつではある。帰省すると、父とは色んな話をしたので、思い出が沢山ある。
ちなみに、子どもの頃は魚系の料理は苦手だった。
祖父が釣りキチで、家には竹串に差した魚が何百本も鴨居に差してあったからだ。
祖父は時々、それを昆布巻きにしたり、汁にしたりしたので、孫の当方は見るのも嫌になった。
しかし、三十を過ぎたら、酒の影響で、次第にこの手のつまみの味を「美味しい」と感じるようになった。
娘が手を付けぬのも、ま、理解出来る。自分もそうだった。
見栄えはともかく、会心の味になった。
身欠き鰊は粕汁でも「イケる」と思う。